ジェインウェイとクルーたち

ヴォイジャーには140名余のクルーが乗艦しています。
その中でも主要キャラの背景と、ジェインウェイ艦長とのあれこれ、
艦内でおなじみのエキストラクルーについて、書いてみます。

 

チャコティ

 ヴォイジャーの副長。元宇宙艦隊少佐。ネイティヴアメリカンの血を引き、左の額に部族の印のタトゥを入れています。年齢はヴォイジャー乗艦時で42歳(艦長より年上ですよ!)。

 艦隊を辞め、カーデシアと戦う武装集団「マキ」に入り、戦いつづけた「怒れる戦士」は、デルタ宇宙域で船を失い、図らずも決別したはずの艦隊ユニフォームに再び袖を通すことになりました。

 思慮があり、指揮官としても優れている彼は、頑固な上に無茶をする艦長を支える良き副官ですが、上官の命令に背いても、自分の信念は貫く熱い人でもあります。何度か艦長と激しく対立しますが、1話から通して見てると、気の強い艦長をあしらう技が、熟練の度を増していくのがよく判ります。

 シリーズ前半では、艦長といいムードになったり、気のあるそぶりが見え見えだったり、2人はどうなるのかと、余計な心配をしてしまいます。もしもくっ付いたとしても、尽くす人、待つ人の副長より、何よりも仕事優先、全てを背負って立つ艦長の方が遥かに男らしいので、余程しっかりしなければ、一生お尻に敷かれますね。

 有能かつ優秀な副長のマイナス面を挙げるなら、「騙されやすい、女難の相あり、シャトルに乗ると必ず事故る」ことでしょうか(苦笑)。一度は艦長を殺しかけました。


トゥヴォック

 ヴァルカン人。宇宙艦隊所属。大尉から「生命なき反乱」で少佐に昇進。優秀な戦術士官であり、保安主任。年齢はヴォイジャー乗艦時で107歳(後半のエピで違う年齢が示唆されます)。妻と4人の子供、孫もあり。

 マキにスパイとして潜入中、チャコティらとデルタ宇宙域へ飛ばされます。そもそもヴォイジャーの任務は、行方不明のマキ船の捜索でしたが、艦長にしたらトゥヴォックの救出任務と思っていたでしょう。

 艦長が提督たちの前で任務終了報告をする席で、彼は任務上のミスを指摘します。それが2人の出会いでした。次の任務から艦長の指揮下に入り、長い付き合いが始まります。

 ヴァルカン人でありながら、「運を頼りたくなる」と言わせるほど無謀な艦長を、トゥヴォックはどんな時でも信頼し、忠誠を尽くします。艦長もまた変わらぬ信頼を寄せています。正規の副長を始め上級士官の大半を失った艦長にとって、チャコティを信頼できるようになるまでは(勿論それ以後も)、彼が大きな支えだったでしょう。

 冷静で論理的な彼の「天敵」は、正反対の性格のニーリックス。この2人を見ていると、ニーリックスの方が一枚上手と言う気がしますが。


トーマス・ユージン・パリス

 父親は厳格なことで有名なオーエン・パリス提督。子供の頃から将来を期待をされていましたが、少々重荷だったようです。アカデミーを卒業し、艦隊に入ってまもなく、3人の仲間を亡くす事故を起こします。事故原因を偽証し罪を免れますが、後に真相を告白し艦隊をクビになります。

 その後マキに入りますが、最初の任務で捕まり、収監されます。ここでジェインウェイ艦長と出会い、オブザーバーとしてヴォイジャーに乗艦します。年齢はヴォイジャー乗艦時で25歳前後でしょうか。

 パイロットの腕は折り紙つき。旅が始まった当初は、ちょっと斜に構えたアウトローな感じと、女ったらしぶりが目立ちます(後半から視聴したせいか、私には彼は関西で言うところの「ぼんぼん」にしか見えませんが)。ヴォイジャークルーの中では不幸度は低い人ですが、ドクターと並ぶトラブルメーカーだと思います。

 20世紀の文化に詳しく、クラッシクカーマニア。「死霊の盆踊り」見てみたいものです。ホロノヴェルを書く才能も有り。彼の「キャプテン・プロトン」は傑作です(^_^;)

 パリス提督に仕えていた艦長は、沈降しているトムを助けたいと思いヴォイジャーに乗せたのでしょう。トムも応えようと努力します。父親との確執、コンプレックスを抱えたまま地球を離れてしまった彼の時計は止まったままでしたが、艦隊本部と連絡が取れた時から、少しづつ進み始めたようです。


ベラナ・トレス

 機関部主任で中尉。艦隊アカデミーを2年で中退し、マキのメンバーに。豊富な知識にはイレギュラーな技や戦術も含まれていて、幾多の苦難からヴォイジャーを救います。ワープコアのクセまで完全に把握している最高の技術者というか、根っからの職人。トムと同年代?。

 地球人の父と、クリンゴンの母から生まれたハーフ。幼いときに父に去られたのは、クリンゴンの血のせいだと思っているベラナの中では、いつでも2つの血がせめぎあい苦悩します。それは彼女がメインのエピソードで、何度も繰り返し語られます。ですが少しずつ彼女は成長します。

 激しい気性を抑え、冷静に仕事をする姿に、主任就任当時あった不満は消え、機関部員の良きリーダーとなります。科学士官出身の艦長とは異なるタイプの彼女ですが、意外とこの2人は似ていると思いますね。


ハリー・キム

 宇宙艦隊所属。アカデミー出たての新人少尉。22歳。オペレーション主任。クラリネットが趣味。真面目で有能、初々しく、艦長は時に母のように接しています。しかし不幸度はヴォイジャーのクルーでは一番です。彼の場合は副長とは違い、他人を巻き込まないだけましでしょうが、自立型不幸人のキムと、他人を巻き込む不幸人の副長が揃ったことで、ヴォイジャーの前途多難が約束されましたね。(冗談です・・・)

 元々は機関部に配属されるところを、艦長がブリッジ任務に推薦したように、非常に優秀な人です。彼の知識やアイデアで何度も窮地を脱しています。仕事の面では問題なしの優等生のキムは、恋をすると何も目に入らなくなります。他にもまだ若いだけに、何事につけ「判りやすい」人物。


緊急医療用ホログラム・ドクター

 正規のドクターや看護士が全滅し、キムにより起動されたホロドクター。最初はただのプログラムで、態度や患者の扱いも問題だらけ。しかし偏見を持たず接するケスに助けられ、人間性を獲得しようと努力を始め、艦長から自分でプログラムのON/OFFをできる権限を与えられ、医療主任として自覚を持つようになります。

 医療以外のサブルーチンを次々に加え、人間らしさが増す一方、それが騒動のタネになることも多々あります。後半になるとドクターがメインのエピソードが増えます。どれも面白いのですが、トラブルを起こしては、艦長始め他のクルーに尻拭いさせて終わることが多いような気がします。プログラムされてないことはできないし、仕方ないのかもしれません。でも、そう思えないほど彼は「人間的」なんですよね。

 艦長も最初は彼をプログラムとしか見ていませんでしたが、1人のクルーとして認め、彼が医療主任として意見する時は、その指示に従います。それでも無駄口はプログラムされてないはずの彼の長広舌を目で黙らせたり、言うことだけ言って、さっさと通信を切ったり、艦長はドクターにはキビシイかも。


ニーリックス

 タラクシア人。ガラクタ集め、廃棄物処理など職歴多数。ヴォイジャーに協力しながらケイゾンから恋人のケスを救出し、そのまま居座ってしまうちゃっかりモノ。主な仕事はコック兼ガイド兼ムードメーカー。後に大使。料理の味付けは??ですが、物資の調達、交渉の腕はなかなかのものです。

 陽気で人懐こく、クルーの士気を高めるのに貢献大ですが、故郷の星と家族を戦争で失うという辛い過去を背負っています。普段はお笑い担当の彼がメインとなる話しは、重く胸に迫る良いエピばかりです。

 クルーとは随所で楽しいやりとりがあります。性格が正反対のトゥヴォックとは結構いいコンビですし、トレスがブチ切れてるときのフォローは、彼の優しさがよく現れています。それは艦長に対しても変わりません。クルーと距離をとり、1人でいることの多い艦長に、さりげなく声をかけたり、コーヒーを差し入れたり、まさにいいヤツ。

 私が好きなのは、艦長を追いかけて通路をパタパタ歩いてるシーンです。まるで殺生丸様と邪険・・・って番組が違う(^_^;)


ケス

 オカンパ人。好奇心旺盛で、記憶力抜群。艦内で水耕栽培をはじめたり、医療部助手としてドクターを助けます。寿命が9才のオカンパ人の2〜3歳が、人間の何歳くらいに相当するのかわかりませんが、子供から大人へ成長する大切な時期をヴォイジャーで過ごしたケス。

 妖精のような容姿と、本人も自覚していない秘められた超能力。子供らしい無邪気さと、知的レベルの高さ。彼女の中にあるいくつものアンビバレンツと、深奥に潜むEVILな心が浮上し始めたことが、ヴォイジャーを去る結果となったのでしょうか。

 艦長がケスに向ける優しい表情。もちろん他のクルーにも笑顔は見せますが、全てを包み込むような、親が我が子を慈しむような、愛情にあふれた笑顔を見せるのはケスに対してだけです。心温まる2人のケミストリーが、私はとてもとても好きでした。


セブン・オブ・ナイン

 ボーグ研究者の両親と一緒に、6歳でボーグに同化されたアニカ・ハンセン、それがセブン・オブ・ナイン。ヴォイジャーのクルーになった時点で26歳。金髪の美人で超グラマー。彼女がボーグのままでいるのは人類の損失・・・というのは冗談ですが、ヴォイジャーの旅の目的を考えれば、ボーグテクノロジーを手に入れたことは、帰還に向けて大きな前進でした。

 意識を共有し、効率最優先のボーグ集合体から意に反して切り離され、個人として生きる道を選ばざるを得なかったセブンは、最初は艦長から押し付けられた価値観に反発します。人間のころの記憶がない彼女には、艦長の行為が人間による「同化」に思えたのでしょう。

 しかしヴォイジャーで日々を過ごすうちに、人間らしさを取り戻して行きます。感情の機微を学ぶ師匠がホロドクターというのは、考えてみれば変ですけどね。感情が無いながらも、人間(地球人)の感情を理解しているヴァルカン人のトゥヴォックの方が適任だと思いますが。少なくとも彼なら人間性の開発を、恋愛方面に限定しなかったでしょう。

 ある意味、セブンはケス以上にイノセンスな存在なのかもしれません。見た目と年齢が立派な成人で、人間では最高の頭脳を持っていても、精神は思春期も迎えていないような、まだほんの子供。「人に何かをしてもらったらありがとうと言いなさい」から教えるのですから、まさに子育て。誰かの庇護が不可欠です。ケスの方が若くても自立しています。

 だから艦長の接し方も、ケスにはいつも「見守る」という感じでしたが、セブンは見守るんだけれども、つい口を出してしまう。言ってる内容とセブンの口調は特殊ですが、2人の言い合いはほとんど母子ケンカです。

 孵化した雛が最初に見たものを親と認識するように、ボーグから人に戻りつつある、心身ともに苦しい時期に、すぐそばに寄り添っていた艦長を、セブンも意識の奥底では母親のように感じているのかもしれません。時に反発しても、艦長に寄せる信頼は絶大です。言葉は横柄でも、やってることは健気です。


サマンサ・ワイルドマン少尉

 宇宙艦隊の科学士官。ブリッジの科学ステーションで見かけます。ディープ・スペース・ナインにクタリア人の夫がいます。「繁殖期エロジウム」で妊娠がわかり、「2つのヴォイジャー」で娘を出産します。彼女も髪型が「タマネギ」からショートに変わってますね。赤ちゃんがいると、髪を結う時間がとれないのでしょうか。


ナオミ・ワイルドマン

 ヴォイジャーで誕生した初めての子供。ニーリックスが名付け親で、とても仲良し。クタリア人とのハーフなので成長が早く、生後3年で10歳くらいに見えます。夢は艦長のアシスタントになること。最初は怖がってたセブンとも仲良くなり、2人でヴォイジャーを救うエピもあります。


イチェブ

 半壊したボーグキューブから救出された子供たちの中で、1人だけヴォイジャーに残りました。頭脳はセブンに負けないくらい優秀。でもセブン同様に、感情面の成長が課題ですね。


ジョゼフ・ケアリー大尉

 宇宙艦隊所属。本来なら機関部主任になるはずだった人。いじわるキャラで行くのかと思えば、マキのクルーとも早くから親しくなり、本編中での描写はありませんが、機関部が円滑に機能するのに、大いに貢献したと思います。


ヴォーラック少尉

 宇宙艦隊所属。ヴァルカン人の機関部員。ヴァルカン人にしては、お茶目というか、浮世離れした困ったちゃんというか、非論理的?な人物。トゥヴォックとはまるで違います。


ホーガン

 元マキのクルー。機関部員。艦長に食って掛かる怖いもの知らず(爆)、が実は忙しい最中にニーリックスの頼みを聞いてやったり、艦長+副長救出作戦に協力したり、登場回数も多くて良いキャラでした。「ケイゾン総攻撃」で残念な結果になりますが、後で思いがけない形で出てきます。


バクスター中尉

 宇宙艦隊所属。筋トレオタク。制服は赤だったり黄色だったり、所属部署は不明です。艦長の評価は冒険心旺盛。最初、ホーガンと区別がつきませんでした。


チャップマン中尉

 「誰かが君に恋してる」でセブンがデート相手に選んだクルー。女性は苦手らしいですが、デート前半ではセブンを一応リードしています。初デートの食事に、でっかいロブスターはやめましょうね。


ロン・スーダー

 元マキのクルー。機関部員。ベタゾイド人。登場するのは3話だけですが、存在感は絶大。内容を書くと余りにネタバレになるので、ここでは書きませんが、罪と贖い、救いとは・・・色々考えさせられます。


アヤラ大尉(アイヤラ?)

 元マキのクルー。チャコティと共に、最初にヴォイジャーに転送された時から、ほとんどのエピでブリッジにいるエキストラ。たまに拘束室勤務もします。ラテン系の濃いお顔なので、印象に残ります。名前が判るのはどのエピでしょう。声は「ケイゾン総攻撃・後編」で聞けます。階級は少尉の場合もあり。男の子がいます。


ノザワ

 宇宙艦隊所属でアジア系のクルー。下着姿をトレスに見られたり、転送室で仕事をすれば撃たれたり、不幸度が高いエキストラ。


モーティマー・ハレン

 宇宙艦隊所属。第15デッキで宇宙の起源を解明する引きこもり君。親にも名前で呼ばせないヘンクツな男。実はかなり優秀です。


ウイリアム・テルファー

 宇宙艦隊所属の科学士官。何かというと病気に逃げ込む気弱な青年士官。医療用トリコーダーが手放せません。


タル・セレス

 宇宙艦隊所属のベイジョー人。アカデミーを卒業したのではなく、訓練過程を終えただけでヴォイジャーに乗艦したクルー。天体測定ラボ勤務。頼りなさも極まったようなトホホさですが、ここ一番に勇気は艦長並み?。

 


BACK TO HOME