REVIEW:SEASON6
怒り倒して我を忘れて暴走する艦長から始まった第6シーズン、
全体に地味ですが、感動的なエピがたくさんあります。
どうやら地球帰還に向けて、大きな進展があるようです。
異空生命体を呼ぶ者達(後編)
EQUINOX PART2:異空生命体を呼ぶ者達(後編) ![]() ★そうよ私は怒ってる!! DVDで再見後に書きます。 SURVIVAL INSTINCT:ボーグの絆を求めて ★命があるだけでは不十分だ 不思議な物体を手に、作戦室へ入る副長。蔦(?)に同化されそうな艦長。前回の対立がウソのように、普通になごんでます。艦を異星人に開放し、満足げな艦長+副長に、ちょっと不機嫌な保安主任。今回の艦長はトゥヴォックに味方せず、副長と団結してます。あげくに「蔦が髪にからまった〜」と副長を呼んで。もう2人で好きにやってなさい(^_^;)。 セブンにくっついてるナオミ。このエピソードでのナオミの役割は、今までならニーリックスだったのでしょうが、セブン+ボーグのエピでは艦長とドクター以外の存在が薄いです。薄いながらもトムとハリーは、作戦室で笑わせてくれましたね。 上陸してケンカ沙汰を起こしたヤンチャコンビが、婉曲表現で事情を報告(言い訳?)するのに、「バーを探してたのね」、「酔ってたんでしょ」と図星を指しつつヤレヤレって表情の艦長。先週のアナタの方がすごかった・・・なんて不遜なツッコミ、艦長ファンはしてはいけません(爆)。2人に謹慎を言い渡して「・・・で、勝ったの?」。2人が声を揃えて勿論!というのを聞いて「それなら結構」と不敵な笑みを。そんなアナタが大好きです。 小ネタが楽しいのですが、本筋は重い話しです。ボーグの集合体から切り離されたドローンは、第3シーズンでも出てきました。彼らもそうでしたが、リンクが切れると容易に元の意識が復活するみたいです。人間に戻された当初のセブンが混乱したのは、わずか6歳で同化されて、個人の意識を持っていた記憶がなかったせいなのですね。ほんとうにからっぽだった。 もう一度彼らとリンクすれば、抜け落ちた記憶の輪が繋がる。でもそこから抜け出せないかもしれない。セブンの心の揺れや不安を思いやりながら、さりげなくアドバイスする艦長の、優しい視線がまぶしいです。 インターリンクの結果、8年前に自分の恐怖心から仲間に施したリンクが彼らの意識を縛り付け、それを知った彼らが強引にセブンとのリンクを切ったため脳にダメージを受けた。装置を取り除こうとすると生命が失われてしまう。ボーグに戻り生命を永らえるか、個人として限られた短い生を生きるか。「生命があるのと、生きているのは違う」という、副長の言葉を黙って聞いていたセブン。 3人の生死を決める辛い決断を下し、患者を生かすのが医者の倫理と言うドクターを説得するセブンは、かつて艦長に「自分で判断できるまで私が決めます」と言われた彼女ではありません。自分の決断の責任を持てる人へと成長しました。このときのドクターも、穏やかないい顔です。人間に戻った時のイノセントな存在から反抗期(?)を経て、ここまで変化してきたのを間近で見てきたドクターには、彼女の成長が感慨深かったのかもしれません。 無駄な言葉は言わず、大仰な言い方や動作をしないセブン、ジェリ・ライアンさんは微妙な表情でセブンの心の動きを良く表現していると思います。 BARGE OF THE DEAD:さまよえるクリンゴンの魂 ★私、生きてる! 「二人のトレス」に始まって何度も繰り返された、荒ぶるクリンゴンの血の葛藤。艦隊という組織の中で生活するには、生来の激しい気性を押さえなければならない。それは自分の半分を否定すること。幼い頃に地球人の父に去られたベラナは、その原因が自分にあると思っていたため、100%クリンゴンの母に育てられても、クリンゴンの世界を肯定できなかった。 それぞれのエピソードが完結した時に、彼女の中にあるクリンゴンの部分を肯定し、心の整理はついたと思ってたのですが、そうではなかったのですね。彼女が本当に決着をつけたかったのは、自分のアイデンティティの問題ではなく、母ミラルとの関係だったのです。 対立したまま時を過ごし、銀河の反対側へ来てしまった今、会って関係を修復することはできません。エレクトラコンプレックスと言うのは簡単ですが、母が信奉する世界を認められないベラナは、母からも認めてもらえない。死に瀕し、地獄行きの「死者の船」で母と再会したのは、ベラナの心の奥にはクリンゴン(母)を否定することの罪悪感があったのだと思います。 前回、艦長がセブンに「家族になら他人にはできないようなことでも、してあげられる」と言いましたが、今回のベラナは母のために、死を賭して否定していた「クリンゴンの世界」に身を投じます。そこに現れたヴォイジャークルーから、心の中に押し込めた部分を抉られ、混乱していく様子は、映像の不気味さとテレビ画面の汚さが合わさって、見るのが辛かった。 「戦うことに疲れた」と言ってバトラフを投げ捨てたのが、何を意味するのかよく解らないのですが、持って生まれたものは全て受け入れるしかない、否定したところで捨てられはしないのだから、悩み苦しんだ後はもう戦わなくていいのだ、という意味かと私は思いました。 ベラナが臨死体験で会った母の言葉が、本当のミラルの思いなのかは解りません。しかし再会を果たせば、現実世界でもミラルから贈られる言葉でしょう。ベラナが自分の心の深奥を、目をそらさず見つめて得た結論なのだから、彼女はこれで変わるはず。母と解り合えた瞬間この世に引き戻され、心配そうに見守る艦長を抱きしめたラストは、とても感動的です。セブンにとって艦長が母であるように、ベラナにとっても母なんですね。 それはそうと、バトラフを華麗に操るトゥヴォック、ちょっとアヤシイ(爆)。 TINKER TENOR DOCTOR SPY:幻の指揮官 ★ヒーローになるチャンスです 食堂に集まったクルーを前に演説するドクター。「女心のうた」を歌いだすと、トゥヴォックが泣いてる!?。えっ?笑ってる!?。そこから歌詞は日本語になり、余りに見事な翻訳のはまりぶりにただただ爆笑。吹き替えの中さんも歌がお上手。これから「女心のうた」の最後は「非論理的〜」と歌いましょう。全員に大ウケ、拍手喝采&花は降ってくる、艦長なんと投げキッスしてる。これ全てドクターの空想。これで止めておけばねぇ・・・。 会議室で上陸任務の話し合い?。BGMがいつもと違いピンク系(笑)と思えば、ベラナが足でドクターを誘惑するわ、セブンはパッドで誘ってウインクするわ、だめ押しは艦長。アカデミー時代の古傷がって腰をドクターに触らせて(お尻を触ってる?)。モテモテハーレム状態って、男の人には憧れなんですか?。女優さんたちも楽しんでましたね。空想の中でも艦長は過激なのがツボです。 現実では自分の能力を過小評価され、「緊急指令ホログラム(ECH)」の提案をしても却下され、フラストレーションが溜まってたのでしょうが、ドクターの空想はボーグと遭遇した時の艦長以上に暴走します・・・そう、そのボーグ。攻撃され艦長が負傷すると(死んだ?)、ドクターは華麗にECHに変身(階級章がプチプチ×2と現れるシーンは必見)。「光子砲」で見事にスフィアを撃墜。ご満悦の彼を監視するナゾの異星人。空想を現実と間違えてヴォイジャー攻撃計画を立てますが、ハイテクノロジーっぽいのにどこかおマヌケ。 空想に歯止めがかからなくなり、プログラムを書き換えたことを告白、ハリーたちが対処しようとしますが、ワープコア爆発の妄想が始まります。警告音声の「ワープコアの爆発は結構早そうよ〜♪」には大爆笑。とうとう妄想に乗っ取られたドクター、原因を探るために空想を覗くと、セブンのヌード画を描いたり(ハリーは役得ですね)、ベラナにくどかれたりと、やりたい放題。これが逆だったら、即刻ベラナにプログラムを削除されてますね。 呆れる艦長ですが、モテモテ願望だけではなく、もっと艦の役に立ちたいというドクターの真剣な思いをかいま見て(だからってドクター、艦長の肩を抱いてはいけません!)、それを受け止めようとします。真摯な考えには真摯に応える艦長に、誰ですか人の意見を聞かない頑固者って言うのは(^_^;)。 空想を覗き見していたと気付いた異星人から、白昼夢の中で接触されたドクター、ヴォイジャーを守るため、また異星人の職を守るためECHになりすまし(笑)艦長席に座りますが、余りのヘナヘナぶりに改めてジェインウェイ艦長の偉大なる存在感を実感しました。貫禄って身体の大きさじゃないんですね。借りてきた猫状態のドクターに、「私が艦長よ」と言わずにいられない艦長もナイス。それと戦況に一喜一憂したり、調子に乗って余計なことを言うのも、艦長たる者してはいけないのだと判りました。アドリブ(?)に頭を抱える艦長を余所に、ドクターは必殺技の「光子砲起動!」の大ハッタリ。おマヌケ異星人の絶妙のフォローもあり危機回避。まあハッタリはOKってことですかね。 大笑いしながら見ましたが、自ら蒔いた種とはいえ、空想を覗かれ恥ずかしい思いをしたドクターが哀れといえば哀れ。でも同僚に対してセクハラまがいの妄想をしてることが、20世紀生まれの会社員としては妙に現実感があり、胸の奥が少しチクチクしたのも事実。ヴォイジャーは家族ですから、許容されたのでしょうね。ラストのセブンのキツ〜イ一言も、愛あればこそですよね。 ALICE:アリスの誘惑 ★アリスはトムの理想の人? 久しぶりにトムがメインの話しですが、余り面白いと感じませんでした。トムは根っからのパイロットで、シャトルに入れ込む気持ちは判りますけどね。アリスにつけこまれる糸口になった、メカ好きな子供がそのまま大人になったようなところは、彼らしいかもしれません。 トムとアリスとのシーン以外は、いくつか面白い小ネタは楽しみました。かつてのニーリックスのような、古物売買業の異星人と取り引きする副長とニーリックス。わざわざキンケードの扮装してトムを誘いにくるハリー、「まだキャプテン・プロトンやってたの?」と突っ込んだのは私だけじゃないでしょう(苦笑)。アラクニア女王のことを言ってましたが、まさか艦長は参加してませんよね。 あとは無精ヒゲと変な衣装で仕事するトムを、誰も不審に思わないことにツッコミを入れ、金髪の人はおヒゲも金髪なのね・・・と感心したり。アリスに心を支配され、身体もチューブだらけのスパゲッティ状態のトム、最後はベラナの愛の力で彼を取り戻せたわけですが、半ば憑依されてた時の異常な言動を彼が覚えていたのは意外でした。このオチはリアルで驚きました。艦長の出番は少なかったけど、先週のドクターのヘナヘナぶりを思い出して笑ってしまうほど、ご立派な采配でございました。 RIDDLES:魂を探した男 ★こんなゲームは嫌いだぁ〜 トゥヴォックとニーリックスのエピソード。第2シーズンの「トゥーヴィックス」で身体が融合し、第3シーズンの「謎の小惑星」で少しは分かり合ってるのかと思えば、相変わらずの2人。確かに性格は正反対ですけど、ニーリックスのトゥヴォックへの接し方は、ヴァルカン人にはかなり迷惑でしょうね。逆にいえばヴァルカン人の民族性を尊重すれば、ニーリックスは自分の生き方を否定することになるのかもしれません。 異星人の攻撃で神経にダメージを受け、意識は戻ったものの、論理的で冷静なトゥヴォックが子供に戻ってしまった。余りの変貌に戸惑いつつ、助けようと懸命になるニーリックス。トゥヴォックに次いで彼には冷たいドクターも、親身に世話をする姿に優しい表情を見せます。 笑うトゥヴォック、怯えるトゥヴォック、八つ当たりするトゥヴォック。そしてニーリックスに頼り切ってるトゥヴォック、目線はずっとニーリックスを追ってます。艦長と2人のランチよりニーリックスと一緒がいいなんて(^_^;)。食堂でデザートを作って満面の笑顔。コーヒーはブラックでも甘いもの好きの艦長、マジで喜んでません?。 最初は優秀な「私」に戻れないと駄々っ子のように暴れたトゥヴォックも、以前はニーリックスに冷たい態度を取っていたことを知り悲しみます。ヴァルカン人が喜怒哀楽の全てを体験し、元に戻る術が見つかった時、ニーリックスといて楽しいと伝えられない「私」に戻りたくないと言う「僕」。今までに彼の心のダークサイドを垣間見ることはありましたが、喜びや楽しさを感じる心も彼の内側にはあり、その部分ではニーリックスを友だちだと思ってる。 手術を受けるよう説得するシーン、元に戻ればどうなるか判ってるのに、トゥヴォックのための最善の選択。論理的に戻ったトゥヴォックに、おっかなびっくり話かけるエピローグのニーリックスは、自分にイライラするトゥヴォックさえも受け入れたのですね。彼の悲しすぎるほどの優さは、トゥヴォックにも通じているでしょう。 普段は見られないトゥヴォックも見ものでしたが、実は一番印象に残ったのはセブンの言葉でした。もしトゥヴォックが元に戻らなければどう接すればいいのか、悩むニーリックスに言った「艦長は私を元に戻そうとせず、未知の可能性を引き出そうとしてくれた」です。彼女がボーグの集合体から切り離され、拘束室で混乱し錯乱状態になっていた時、そばに寄り添い支えたのは艦長でした。そこから始まった2人の関係。セブンが艦長に寄せる大きな信頼は、ありのままの彼女を受け入れ、いつでも支えとなっていた艦長を理解したからなんですね。この言葉を艦長に聞かせてあげたい。 これはベラナことロクサン・ドースンさんの初監督作品だそうです(だからベラナは出てこない?)。演出についてはよく判らないし、地味な話ですが、ニーリックスの成長を間近に見てきたベラナだから、彼の明るいだけじゃない優しさを、丁寧に描いていると思います。 DRAGON'S TEETH:亜空間制圧戦争 ★それを信じたら私もヴァードワーと言われるでしょうね 何を言いたいのか、辻つまが合ってるのかも解らない、ついでに言えば後味もよくないエピソードでした。争いのきっかけを作ったのはヴォイジャーなのに、後は勝手に戦ってくださいみたいな立ち去り方がどうも・・・。第5シーズンの「頭脳集団クロスの陰謀」のラストもタコ殴り状態から逃げてましたけど、あれは巻き込まれたわけですから、今回よりはマシかも。久しぶりの着陸シーンや、窓の外に広がる廃墟、戦闘シーンのCGなど見所はありましたが。 アゴが印象的なヴァードワー人が休眠ポッドに入ったのが900年前だったとは驚きです。そのころの日本は某国営放送がやってる「源義経」の時代なんですよね。 歴史的背景や民族性を調べもせず、休眠から覚ましてしまったセブンの、彼女らしからぬ軽率な行動がそもそもの発端。艦長でもやりそうですけど(^_^;)。訳のわからないものに手を出して何度も痛い目に合ってるんだから、学習しましょうね。艦隊の規約の復習も忘れずに。でも今回はセブンの活躍だけで切り抜けるのではなく、全員が(でもないか)協力する初期ヴォイジャーっぽいのはいい点です。 最初に蘇生したゲドリンが善い人らしいのと、ヴォイジャーを攻撃したトゥレイ人が彼らの星を壊滅させたらしいと言うことで、ヴァードワー人の移住先を探す手伝いをします。大量の休眠ポッドを見て副長が言った「ドラゴンの歯(原題)」の逸話から、ヴァードワー人の胡散臭さを艦長も感じたでしょうが、彼らのリーダーの吹き替えが「偽りの亡命者」でカシックの声を当てた人だったので、私はきっと裏切ると思いました。予感は見事に的中(爆)。密かにヴォイジャー横取り計画を進めます。 「ヴァードワー人の子供は嫌い」というナオミ。彼女の子供らしい嫌悪の感情を叱らず、ヴァードワー人について調べるニーリックス。見つけたタラクシアの民話を検証してほしいと頼まれたセブン。かつての彼女なら「無意味だ」で済ませたでしょうね。2人から報告を受け、ゲドリンに疑惑をぶつける艦長。彼らを信じられないけど、約束は果たそうとする艦長をフォローする副長。この辺りの連携はヴォイジャーならではですね。 ゲドリンがどんな立場だったのか、それと同胞を裏切った理由を描かれていたら、もう少し解りやすい話しになったかもしれません。まあイクワノックス以来(?)の、仁王立ち女王様艦長が見られたので良しとしましょうか。臨機応変過ぎる采配には少々疑問を感じますが。 疑問といえば、トゥヴォックはあれからどうなったんでしょう。あの状況では転送できないのでは?。置いては行かないでしょうけど(苦笑)。あとエミー賞の「ヘアメイク部門」にノミネートされたそうですが、誰の髪に対して?。まさか艦長の乱れ髪?。 ONE SMALL STEP:電磁空間アレース4 ★探険とは物事を自分の目で見ることよ まず、副長の無謀さはいただけませんね。セブンも厳しく言っていましたが、まったくその通り。デルタフライヤーにトムやセブンじゃなく、名も無き少尉でも乗ってた日には、きっと死者が出てたでしょう。彼自身は負傷してさっさと戦線離脱して(苦笑)・・・なんてイヤミなことを書きましたが、とても良いエピソードでした。副長もコミュニケーターの騒音とか、ドアにおちょくられて笑わせてくれたし。 火星探査船「アレース4」は今の探査機に近い外観ですが、時は2032年で私たちから見れば近未来。30年後に火星を人間が歩くのは無理でしょうが、頭上に広がる宇宙に対する飽くなき探険心は、21世紀の人類と24世紀のヴォイジャークルーも変わりないようです。 ヴォイジャーの後方に突然現れた「電磁空間」の中に21世紀の金属があり、それが探査任務中に謎の現象に飲み込まれ行方不明になった「アレース4」と判明。アレース4探索熱が沸きあがります。地球人、ヴァルカン人、クリンゴンハーフ、果てはホログラムのドクターまでが探険や過去への憧れなどを、場所を変え言葉を変え語りますが、セブンだけは気乗りしない表情。集団で1つの意識を持つボーグは、誰の1歩でも同じこと。個別の感情が無ければ、事実は事実としての価値しかない。与えられた任務をこなし、完璧性を求めるだけだったセブンには、人間の憧憬や感傷は未だに理解できないのですね。 探索決定後の艦長とセブンの会話ですが、これまで2人は価値観の違いによる対立や、親子げんかのような意見の不一致は何度もありました。時には艦長も不条理な発言をしましたが、ここでは何も知らない子供に教え諭すように、でも含蓄のあることを言ってますね。探険心や冒険心が人を新たな世界に導き、過去を知ることは今の自分を知ることでもある。そして何よりも自分の目で見ることが大切。セブンがしぶしぶでも艦長の意に従ったのは、上官の命令だからと言うより、艦長の言わんとすることに意義を見たのでしょう。 電磁空間に入り目の前に広がるものを散文的に伝えるチャコティの「艦長に見せたかった」に、「もっと話して」と答える艦長。デルタフライヤーからの映像を映さず、ブリッジでワクワクしながら聞いてる艦長たちを映すなど、ドクター(ロバート・ピカード氏)の演出はなかなかですね。セブンの感想に艦長が見せた満足そうな笑顔も最高。 ここからの危機的展開はお約束。副長の無謀というのはレアですが(苦笑)。アレース4にセブンが転送されてから、ずっと乗員のケリー中尉のモノローグが続きます。たった1人で未知の中に取り込まれても記録を取りつづけた中尉。帰還の可能性がなくなり、最後は生命維持装置を切っても、いずれ誰かが見つけてくれる希望は捨てず、少しでも多くの記録を残そうとしたのは、未知の探求は成功することだけに価値があるのではなく、1つ1つたどる道筋にこそ価値があると、探検家である彼は知っているからです。そしてその記録を、同じように未知の世界に取り残されたヴォイジャーが発見する。皮肉といえば皮肉です。 7万光年の過酷な旅を続ける彼らが、絶望的状況におかれても希望を失わないのは、未知の世界を探求したいと思う気持ちが、故郷への帰還を願う気持ちと同じくらい強いから。記録を確保するだけでなく、中尉の遺体を転送したセブンは、自分にも彼やヴォイジャークルーと同じ思いがあったと気付いたのですね。「ヤンキースが勝った」は、任務を果たし永遠の眠りについた中尉へ贈る、最良のお別れの言葉でした。聞いてるトムの笑顔もステキ。全員が良識的で、それぞれが最善を尽くすエピは良いですね。ジョン・ケリー中尉に安らかな眠りを。 THE VOYAGER CONSPIRACY:果てしなき疑惑 ★毒は入ってないだろうね(^_-) ナオミ・ワオルドマン、大きくなりましたね。カディスコットゲームも、まだ続いてるようで仲良しコンビ健在、セブンも珍しくお茶目な笑顔です。アルコーブを改造し、再生中にヴォイジャーのデータをそっくり同化するとは、さすがは効率優先のボーグ。 艦長と副長のディナー、「熱いです」ってコンピューターの警告は遅すぎ(苦笑)。苦手な料理に挑戦する艦長のチャレンジ精神を誉めるべきか、新作料理を毒味する副長の勇気を称えるべきか、今回の彼の口調がタメ口なのは、何度か痛い目に合って手料理を食べる時だけは強気なのかも(ウソウソ)。いい雰囲気と艦内の噂話、後に繋がります。 再生で知識を得たセブンは、ホームズ顔負けの名推理を展開し、光子ノミ(ハエに見えましたけど)を発見したまではいいのですが、亜空間をショートカットできるカタパルトを作った異星人に疑惑の目を向けたあたりから雲行きが怪しくなります。ここで登場するのが第1話の「管理者」のアレイ。いくつか懐かしい映像が見られます。 アレイの破壊はデルタ宇宙域に残るために仕組んだ艦長の陰謀だった!。チャコティを天体測定ラボに呼び出し立て板に水!、とうとうとまくしたてるセブンに、最初は本気にしなかった彼も、宇宙暦つきで具体的に根拠をあげられ、カーデシアやマキのことまで言及され、艦長への疑惑が湧いてきます。普通に考えれば艦隊がそんな指令を出すはずないし、まして艦長が好き好んで7万光年の彼方に残ったなんて、どう考えても有り得ないと思うんですけどねぇ。 一方、艦長もセブンにラボに呼び出され、チャコティに言った艦長陰謀説と同じ根拠で、今度は彼がマキのクルーと反乱を起こすと、これまたまくし立てます。騙されキャラの副長とは違い、艦長は簡単にはセブンの言うことを信じませんが、どんな時も用心を欠かさない人ですから、疑惑は持ったでしょう。艦長の表情を見る限りでは、セブンの言い分の方に疑いを持ってるようですが。アルコーブで副長と鉢合わせした時も、腹の探り合いのような会話をあっさり切り上げ、セブンに言われたことを率直に告げて疑惑にケリをつけてしまいます。 当のセブンは何を信じていいのか解らない、ほとんどパニック状態になり、デルタフライヤーでヴォイジャーを脱走。こんな時でも攻撃をかわす細工を忘れないのは立派です。ドクターの報告でセブンの行動は機能不全が原因と解り、艦長が転送でセブンの元へ行きます。 今度は家族やボーグのことで艦長が陰謀を巡らしていると、またまた宇宙暦をあげ難癖をつけます。時にはバルカン人以上に冷静で論理的なセブンが、ここではかなり壊れていて、艦長の説得も湧き上がる妄想の前には無意味だ・・・・とならないところが艦長の真骨頂。セブンと同じように宇宙暦をあげ、2人のこれまでの道のりを話します。 集合体から切り離し人間性を受け入れ、社会性を身につけるよう促したこと、両親の日誌を読ませたこと。セブンは艦長の言うことを受け入れ、自分と向き合い始めたが、その時々にセブンは後悔していないか、これで幸せなのかと自分に問いかけていたこと。セブンに「ありがとう」と言われたこと。ベタなんですが、2人の信頼関係はこうして築き上げられてきたのだと思うと感慨深いです。艦長の表情が少しずつ柔らかくなってくるのも感動的でした。 過ぎたるは及ばざるがごとし、キャパを超える情報をインプットしても機能不全を起こすところはホログラムもボーグも同じ。今回はセブンに引っ掻き回された艦長と副長ですが、一から信頼を築いてきたのはセブンと同じでも、共に修羅場をくぐり抜けてきた5年の月日の積み重ねが、2人の結びつきを揺ぎないものにしているようです。コーヒーに毒は入れてないでしょうが、副長には砂糖とミルクをいれてあげましょうね、艦長。 このエピソードでセブンは3回、ややこしい宇宙暦を含む長い長いセリフを言ってます。演じるジェリ・ライアンさん、吹き替えの沢海陽子さん、お疲れさまでした。それにしても、あのトラクタービームはなんだったのかなぁ。カタパルトも持ち運びできたらよかったのにね。 PATHFINDER:遥か彼方からの声 ★僕はヴォイジャーに、取りつかれてしまった ネクスト・ジェネレーションのレジナルド・バークレーとディアナ・トロイが出演、艦隊本部と初めて直接コンタクトが取れ、パリス提督も再登場・・・まで事前に知っていながら、すご〜〜く感動しました。まだまだ道半ばとはいえ、懐かしい地球と短い時間でも繋がったことで、彼らの孤独が少しは癒されたでしょう。 第4シーズンの「プロメテウスの灯を求めて」でドクターが艦隊本部にヴォイジャーの無事を伝えましたが、「裏切られたメッセージ」で艦隊は彼らの救出に具体策はないと伝えてきたので、艦隊の協力なしに自力で帰るしかないのだと思ってました。帰還はその通りですけど、救出計画はあったようです。名づけて「パスファインダー・プロジェクト」、バークレーはこれに参加していて、ワームホールを使ってヴォイジャーに通信を送る方法を思いつきます。 ヴォイジャークルーと面識のないバークレーが(これは最後まで気付きませんでした)、誰よりも彼らの孤独に共鳴し、彼らのために必死で通信しようとする。彼は第2シーズンでホロキャラとして出てきてましたが、そのエピソードで良い印象を持たなかったのと、TNGは未見で思い入れがないので、最初は要領が悪くてどんくさい人だなと思いながら見ていました。 話しはバークレーとディアナの会話から、彼が通信のためにホロデッキで右往左往する回想シーンになります。ヴォイジャークルーは彼が作ったホログラムのキャラとして登場。2年前にドクターがもたらしたデータにはビジュアルデータが無かったのか、艦長はタマネギ頭で、副長とベラナはマキの服装と、遭難した時のままです。みんなの雰囲気も微妙にいつもと違います。非常時の艦長がおとなしい(苦笑)。ニーリックスとセブンは出てきません。 彼の口下手で不器用なところが見てられなかったり、仕事中に彼がどこにいるのか(ホロデッキはヴォイジャーなので解ります)、ハーキンズ中佐といる場面がどこなのかよく解らなかったり、ついでに言えばジェインウェイ艦長が出てこないし(爆)、途中で少々ダレたりしましたが、ラストの15分はハンカチが要るかと思いました(涙)。 命令違反を重ね、保安部員に抵抗しながら必死でヴォイジャーに送ったメッセージ。バークレーは返事がなく万事休すと思いますが、ヴォイジャーには届いていました。ブリッジに彼の声が聞こえた時に艦長たちの表情も輝きましたが、私も本当にうれしかった!!。駆けつけたパリス提督の耳にもジェインウェイ艦長の声が聞こえ、そしてとうとう提督は「息子を誇りに思う」と、おそらくトムが何よりも一番聞きたかった言葉を言います。トム、よかったね。会話ができればもっと良かったのに。 すぐに切れたし、常時通信はできませんが、遭難以来5年にしてようやく故郷の人たちと会話ができた。トホホな人っぽいのにバークレーすごい!!。ありがとうレッジ!!。 でも、ドクターがヴォイジャーの位置を知らせてから2万光年くらい進んでないかなぁ?。ワープ6で進んだとして・・・と中佐が言ってましたけど、先々週のカタパルトを含めて3回くらいは大ジャンプしてたような??。それはつっこんじゃダメ??(爆)。 FAIR HAVEN:愛しのフェア・ヘブン ★今度はイビキをかいても放っておきなさい 久しぶりの大規模なホロデッキ・コスプレモノで艦長のロマンスエピソードとくれば、期待しないわけにはいきません。それも艦長好みの19世紀のヨーロッパが舞台ですからね。石畳の町「フェア・ヘブン」はアイルランドの設定だそうです。いつもと違う舞台と衣装、お気楽でちょっとホロリとくるようなエピを予想していたら、ちょっと趣きが違いました。 フェア・ヘブンの酒場の主人、マイケル・サリバンに「恋」してしまった艦長。ほんの戯れのつもりが、自分好みにマイケルのパラメータを変え、それが楽しそうで、でも妙に真剣で、最後に「奥さんを削除」。これはマジかもって言うか、やっぱりやっちゃったわねと大笑い。 「理想のタイプ」に作り変えたマイケルと、19世紀の衣装を身に着けてデートに出かけたところを、副長に目撃されて照れる艦長。ブリッジで彼に墓穴を掘るような言い訳をしてしまい、ここぞとばかりに揶揄される艦長。「艦長が楽しければこっちもうれしい」なんて言う副長、実は妬いてる?。それとも恋するキャスリンの可愛さが微笑ましかっただけ?。 でも艦長はのめりこんでるわけじゃないんですね。確かに酒場のダンスシーンはすごく楽しそうでしたが、ホログラム相手にという後ろめたさや躊躇いが、心の中で次第にふくらんでくるのが、フェア・ヘブンの外での表情が少しずつ曇ってくることからも判ります。2人だけになって交わした初めてのキスで、はっきりそれを認識したのが悲しい。 それでもそこで留まらなかったのは、自分を孤独から救ってくれる人がヴォイジャーにはいないから。正確には自ら遠ざけているのだけど。何かを振り切るように首を振り、意を決したような2度目のキス。その微妙な間に、艦長の埋められない孤独の深さと厳しさが見えます。 「生命体8472」で八方塞りの状況に置かれ、信頼する副長やトゥヴォックにさえ言えない、迷う心の内を明かした相手はホログラムのダ・ヴィンチでした。でも不安や迷い、揺れる心を素直に表せるホログラムから救いは得られない。ヴォイジャーの艦長でいる限り逃れられない責任と孤独を、このエピで「恋」に集約して描いたのかもしれません(深読みかな?)。 逡巡したあと詩集を処分し、恋に決着をつけた艦長。相手を自分好みに変えるなんて、恋に臆病な少女のようなことをしても、それができること自体が既に現実じゃない。2人で過ごした楽しい時間が、数倍の重さで虚しさになって戻ってくる。灯りを落とした私室で、胸の痛みに独りで耐え、誘いに来たニーリックスに、「現実のほうが大事なの」と言って断った艦長の暗い表情は、見ていて切なくなります。 艦長に去られヤケ酒をあおり、乱闘騒ぎを起こしたマイケル。怪我をして医療室に戻ったニーリックス、トム、ハリー、ドクター。様子を見に来た艦長に、トムとニーリックスは大人の対応をしますが、その気にさせておいて捨てたと暗に責めるハリー。純情青年で恋をしたら一直線の彼らしい反応だわ(苦笑)。 艦内を歩きながら話す艦長とドクター。少々のことでは動揺しない豪傑艦長が、珍しくうろたえ気味なのが可愛かったり、内容はシリアスなのに、夫婦漫才のように息の合った会話にちょっと笑ってしまいました。良いこと言ってますよね、ドクター。起動して6年、その大部分を医療室で過ごし、クルーの中では最も世間知らずのプログラムである彼が、人間の機微を知ってるなんて考えてみればすごいこと。艦に恋愛相手がいなければ、ホログラムも選択肢の一つというのは大きなお世話ですけどね。後半の艦長がブルーだったのは恋煩いのせいだけじゃないし、二度同じことはしませんよ、おそらく。 最後にマイケルにお別れを言う艦長。「愛してる」と言う彼に静かな微笑を返すだけ。ホログラムの彼に艦長の懊悩が判るはずがない、これも悲しい現実です。別にずっとシリアスに見てたわけじゃないですけどね。笑ったところもたくさんありました。ドクターの注文に文句を言うトムを無理矢理引きずっていく艦長。宇宙酔いのトゥヴォックに海の説明をするトム、その隣りで絶妙の合いの手を入れるハリー、追い討ちをかけるニーリックスとか、どこで身につけたのか男あしらいが妙に板についたセブンとか(爆)。 マーク、カシック、ジェインウェイ・ラムダ1のバーレー卿、そしてマイケル。彼らを見ていると艦長の好みが判りますが、いわゆる「艦隊プロトコル」を持ち出すまでもなく、お相手となれる殿方はヴォイジャーにはいないみたい。副長はいいセン行ってると思うけど・・・。 BLINK OF AN EYE:超進化惑星の煌き ★一番大きいシミを付けてあげる 地表の様子も見えなくて、何かが渦巻いてるような摩訶不思議な惑星。妙にくっついてる艦長&副長に全員一致でさあ行くわよ!。わくわくしながら向かえば、あっけなくはまってしまい、エンジンが止まって出られなくなってしまいましたとさ(^_^;)・・・この程度で四の五の言ってたらヴォイジャーは見てられません。 ヴォイジャーの1秒が惑星の1日。幸か不幸か動けないヴォイジャーは、文明の成長をずっと追うことが出来るわけ。この手の研究には熱心な副長も、彼の良き理解者だけど現実主義のエンジニアのベラナも、みんながそれぞれ得意分野で頑張ると安心して見ていられます。 ドクターを惑星に送る転送室の場面、不安そうな彼になにげにいぢわるな艦長、先週の懺悔の仕返しかな?。転送時間の3秒を楽しそうに数えるベラナ、ドクターにはシニカルだなぁ。呼び戻すのに失敗して慌てる女2人。ドクターの居場所をオペラハウスのある所と見当をつける副長、冴えてますね。 ようやく戻ってきて思わず艦長にムギュ〜と抱きついてしまうドクター、ホログラムってことを忘れるほど人間的。惑星にいた3年の間に、寂しいからって同居人を見つけてるし(笑)。それが奥さんだと艦長にはバレバレですね。しょーがないわねって表情で顔を見あわせた艦長とベラナがNICEです。さすがに「子供」まで作ってきたとは思わなかったようですが(どうやって作ったのかナゾを解明してほしい!)。 素朴な呪術(?)が信奉されていた時代から、最後はヴォイジャーのテクノロジーを越えてしまうまで。私たちが学校で駆け足で学ぶ歴史の授業みたいに、進化をダイジェストで見られましたが、その進化・進歩の源になったのは、彼らの頭上にひときわ輝く大きな星。目視できる時代では「スカイシップ」と呼ばれたヴォイジャー。 異星人の宇宙飛行士と話す艦長。同じ探検家として、彼らのストレートな憧れの気持ちに共感を持ったでしょう。憧れが大きな進歩をもたらすのは同じですからね。でも最初に異星人からメッセージを受けた時に、ワープ以前の文明とはコンタクトできないと言ってから、数十分でトリコバルト弾を開発してヴォイジャーのシールドをダウンさせてしまうとは、余りの進化に笑ってしまいました。彼らの惑星に地震という災難をもたらした張本人だけに、攻撃されても最後まで反撃しなかった艦長の責任感も素晴らしい。 ついに憧れの「スカイシップ」の技術を追い越し、彼らの「神」を助けた。ヴォイジャーがいなくなれば進歩できないと宇宙飛行士は言いましたが、ヴォイジャーと出会って知った新たな世界を探険するという目標ができたわけですから、世代は変わっても歩みは止まらないでしょう。去り行くヴォイジャーを見送る年老いた彼、満足そうないい笑顔でした。元ネタらしき本があったり、科学的な矛盾もあるそうですが、無粋なツッコミはせず「ファンタジック・ヴォイジャー」もいいわねと楽しみました。 私たちとは違う次元とか時空に、私たちを見ている存在があったら・・・星空を見上げたらこのエピを思い出して、大きく輝く星を探してしまいそうです。それと、ラストを見て浦島太郎を思い出したワタシは、やはり日本人です(^_^;)。 VIRTUOSO:心に響く歌 ★名声は、いつだってはかないものよ 冒頭の艦長日誌で「修理をかってでた」と言ってたのに、実は相手のコーマー人の方がハイテク。でもそれをひけらかして嫌な感じ。トラブルの原因がヴォイジャーだからにこやかに、かつ下手に出る我らが女王様、ドクターを振り返って表情を豹変させるところがお茶目。 ハイテクなのに(だからか?)音楽を知らないコーマー人にバカウケしたドクターの鼻歌。音楽と数学の関係は、これまでに何度か作中で語られてますが、ファンレターに円周率のケタ数が出てくるようなコーマー人は、音楽をどのように捉えたのでしょう。 かつて私は「音の専門職」に就いていました。そのころテレビでマルタ・アルゲリッチのピアノ協奏曲を聞いて、素晴らしく調律されたピアノの響きに感動しました。そう私はピアノの音が聞こえてる間中、ずっと「音」だけを聞いていたのです。曲ではなく音、ただの振動数。大好きなアルゲリッチのピアノなのに、それに気付いた時はとてもショックでした。 コーマー人がそれと同じではないでしょうが、今は演奏者として「その曲で何を、どう表現するか」を考えながら日々音楽に接している身としては、ただの音波発生器(ドクターの上位機種)に大拍手する彼らに、ドクターが理解できるとは思えません。ついでに言うと、コーマー人の作った曲を聞いてとまどう艦長たちに、鼻歌にもならない音の羅列の、いわゆる現代音楽が嫌いな自分を重ねてしまいました(笑)。 自信過剰の自惚れやで、調子に乗りやすくて、思い込んだらどこまでも行ってしまう。解りやすいドクターの性格。そんなドクターとヴォイジャーの三女傑、それぞれのスタンスがよく解りましたね。名コンビのセブンはお別れを言いに来たドクターに、いつにも増して無愛想。行くなとも言えないで、泣きそうな顔で後姿を見送って(泣)。恋か師弟愛か友情か分類は出来なくても、こんなに慕われてるのにドクターは気付かないの?。 今回は毒舌が冴えに冴え渡ってるベラナ。「頭の輝きしか見えない」には大笑い。辛辣でシニカルな言い方も、ドクターから医学知識を外したら、「あなた」じゃなくなると言ってくれるのも仲間なればこそ。 仕事をサボってホロCDにサイン会。いい気になって艦長に「キャスリン」ですって?命知らずな(爆)。おまけに艦長に口答えするなんて。最近この2人の掛けあいが愉快でいいと思うんですが、お目玉くらっても懲りてませんねドクターは。 認められたい気持ちは解りますが、もっとつまらない仕事を黙々とこなしてるクルーもいるし、日常接してるから殊更オイシイことを言わない仲間より、彼の歌を絶賛する異星人のほうが良く見えるのかもしれないけど、医者としては野蛮人扱いされたのを忘れてる。ありのままを受け入れているのはどっちなのか、考えられない程のぼせ上がり、自分を見失って艦長に暴言を吐き、自分に向けられる友情に気付かない。艦長は副長とは時に激しく対立しますが、他のクルーにあんなに激しく言い募ったりしません。小柄な艦長がわざわざ高い位置から見下ろして話すのは、相手を必ず説得すると強く思ってる時だけ。でもその説得も耳に入らない。 前半の舞い上がり方がすごかったから、オチのトホホはお約束ですが、心を込めた熱唱に艦長が涙したのを、ドクターは気付いたでしょうか。作戦室でそっけなくドクターを追い返してから見せた艦長の笑顔が、彼に対するクルーの思いを端的に現してますよね。セブンのファンレターも良かった。 最初と最後に「線路は続くよ」の歌、旅を続けるヴォイジャーにピッタリの歌(原語の歌詞は日本語と少し意味が違うようですが)。それにしても、なんて言うか・・・本当に艦長は大変ですね。ナリは大きくても子供みたいなクルーを抱えて、先行き不透明な長旅を続けないといけないんだから。できることなら美味しいコーヒーを持って行って慰めて差し上げたい。 MEMORIAL:虐殺の記憶 ★私は見ているだけだった 大嵐のイクワノックスから始まった第6シーズン、お笑いエピソードはいくつかありましたが、比較的地味で大人しい話しが続いているように思います。これも地味ですが、見る人によって感じ方はさまざまで結論らしきものがない、スタトレらしいエピかもしれません。 冒頭のムサ苦しい(?)男4人のミッションがいい雰囲気。ハリーって潔癖症なのね。艦長との通信もユーモアがあってGOOD。2週間も会えなかったからって、テレビにポップコーンでお出迎えのベラナが可愛かったり、なのにテレビに夢中のトムとか、邦題に似合わないほのぼの路線だと思ったら・・・。 植民惑星の一般市民を移住させる時に、彼らを殺してしまったナカーンの軍人たち。その事件を副長、トム、ハリー、ニーリックスが加害者として体験してしまいます。原因はナカーン人が自ら起こした虐殺を忘れないように、惑星の近くに来た人たちに「読む」や「見せる」より強力な、「体験」をさせる装置のせいだと解ったのですが・・・。 装置を残すか破壊してしまうか。白熱の議論でした。異星人の記録を勝手に破壊していいのか?。通りすがりの人にトラウマを残すような、残酷な記憶を有無を言わさず体験させていいのか?。結局は艦長の強い言葉で残すことになりましたが、誰の意見も正しく、誰も間違ったことは言ってない。もちろん艦長の意見も含めて。 「ナカーン人の虐殺の記憶」なら、記憶の追体験は迷惑なだけです。艦長でさえかなり混乱してましたからね。でも、パニックになって銃を乱射したハリー、指揮官に進言しながらも止められなかった副長、虐殺の証拠隠滅を見てるしかなかった艦長。倫理観が崩壊したような残忍な人じゃなくても、闘いの中では望むと望まざるに関わらず虐殺に荷担してしまう。 そんな人の心の脆さを忘れないために残す記憶なら、それはそれで意義はあるでしょう。だから問題はやり方ですね。あれはイヤだ!。ヴォイジャーのように、作られた虐殺の記憶だと解明できたならまだしも、あの記憶が自分の実体験だと信じて、人生を狂わせてしまう人がいないとも限らない。異星人にまで知らしめたいほどの負の記憶なんだから、強烈な影響を与えることは容易に想像できます。でもそれによってもたらされる結果に責任を負うべきナカーン人がいないのだから、装置は朽ちるにまかせるのが妥当ではないかと、私は思います。 本音と言うか、なんと言うか、レギュラークルーのリアルな銃撃戦は見たくないです。いつもはレビューを書く前にVTRを見直すのですが、これは見返す気にはなれませんでした。 TSUNKATSE:囚われのファイター ★艦長のデスクに足を乗せたくてウズウズ 全員が休暇中のヴォイジャー。停泊中の艦から離れた星で休暇を楽しむ艦長を、妙にいそいそと送り出す副長。実は「ツンカッツェ」観戦にハマっていて、艦長代理をよいことに職権乱用して羽を伸ばそうと悪巧み(笑)。もっともハマってるのは副長はじめ上級士官全員。みんないつもより伸び伸びしてるのは休暇のせい?それとも艦長がいないから?。 鬼の居ぬ間に(艦長ゴメンナサイ!)洗濯をしないトゥヴォックとセブンは2人で星雲観察。この2人はどちらも寡黙で、論理的なところなど共通点が多いので、セブンの人間性回復の指導者には、下世話なドクターよりもトゥヴォックの方が適任のように思います。 打撃系の格闘技は好きなので、冒頭の試合はかっこいいと思いましたが、通りすがりの人を拉致して戦わせるナマズ髭の異星人が主催者。負傷したトゥヴォックの治療を条件に、戦うことになったセブン。いきさつはともかく、ファイティングポーズと衣装はかっこいい(笑)。 ボーグドローンが幾多の人を同化するのと、1人の人間が他人の生命を奪うのは全く違う。ヴォイジャーでの3年間でそれを学んだセブンは、最初の対戦相手にトドメを刺せずKOされましたが、次の試合は本当に死ぬまで戦うデスマッチ。殺さなければ殺される。トゥヴォックが「どんな事をしても生き延びろ」と言わなければ、彼女は拳を上げなかったかもしれない。 1人で戦うのを恐れているのではなく、戦って勝つ力が自分にあることを恐れるセブン。人類最高の頭脳や、素晴らしい身体能力も誇示せず、自身の能力よりはるかに低レベルな業務を淡々とこなし(頭脳集団のクロスが指摘してましたね)、人間性向上の努力を続ける。対人関係にまだ改善の余地はありますが、善なる人間の素養は充分に育まれてます。 あのまま試合が続いていたらトドメを刺したか?。セブンは解らないと答えましたが、殺せなかったと思います。ヒロージェンハンターも、そう感じていたような気がします。ヒロージェンはケイゾンに次いで嫌いな種族ですが、生き延びるために戦う彼は、狩りしか頭に無い粗野で残忍なハンターではなく、悲壮感があり立派でした。つぶらな目がカワイイかった。 セブンには辛い体験でしたが、彼女を守ろうとする人は艦長だけじゃないと知ることができたんじゃないかな。論理的に考えた上での行動でも、自分のためではなく人のため。だからトゥヴォックも言葉にして礼を言ったわけです。ただ彼はセブンを戦わせるより、ケガをおしてでも自分が戦おうとする人だと思いますけどね。 絶妙のタイミングで救助に間に合った艦長のデルタフライヤー。後ろに何人かクルーが乗ってましたが、艦長のお供を志願したの?。それとも命令?。私に言ってくだされば、いつでもどこへでも、コーヒーを携えて喜んでお供致します!!。 COLLECTIVE:遺棄されたボーグ ★今からちょっと散歩に出かけてみない? デルタ・フライヤーでポーカーする男4人。「虐殺の記憶」のメンバーですね。不幸ならお任せのハリーと、シャトル事故率100%(?)の副長が乗ってるんだから、今回もおして知るべし(^_^:)。目視できる距離までボーグキューブが迫ってきて、慌てる男たちが少々おマヌケ(苦笑)。でもキューブとのフェイザー戦は久しぶりでかっこよかった。彼らの活躍はほぼこれでオシマイ。ボーグネタだからセブンがお当番なのは当然かもしれないけど、せっかく4人も揃ってるのだから、もう少し見せ場があってもよかったのに残念。 効率最優先のボーグが子育てするのはなんだか不思議。子供はまだしも、胎児のドローンは見た目ちょっと怖いかも。医療室で赤ちゃんボーグを抱っこする艦長は優しげでしたが、ボーグを壊滅させる生物兵器の作成を指示するところはとてもシビア。この非情さは大人です。 ボーグとして中途半端な子供たち。子供といっても年長の2人は艦長より大きい(爆)。情緒不安定で行動が分裂状態。反抗期とはまさに言いえて妙。でも5人のリーダーは、いわば親を亡くして弟妹たちを守ろうとしたわけで、ボーグでなければ健気で良いお兄ちゃんですよね。彼にしたら当り前のボーグであることが、実際は本来の姿じゃないと言われても、リーダーとしてボーグ精神を誰よりも強く持ってしまっただけに、簡単には受け入れられなかったのでしょう。かつてのセブンのような彼が死んでしまったのは残念です。 集合体から切り離されたセブンが適応できたのは、充分に成熟し、論理的な思考ができるようになっていたから。ボーグから得たものでも、身につけてしまえばこっちのもの。ボーグの子供たちがどう成長するかは未知数ですが、艦長の言葉「子供って親が思うよりたくましいものよ」は、彼らにも当てはまると思います。身近にセブンというお手本もありますからね。 ヴォイジャーで3年を過ごして、セブンは表情豊かになりましたね。最初はマジメな顔でボケをかましてくれましたが、今では笑顔も珍しくないし、特に艦長の前では自然な表情を見せることが多い。スパイスが効きすぎだったユーモアも、普通に笑えるレベルに上達(^_-)。 エピローグで報告に来たセブンに向けた艦長の表情。子供達を導いて行けるほど成長をとげたセブンを見る、愛おしげな眼差しがとても印象的です。こんなに艦長に愛されて、セブンは幸せですよね。 SPIRIT FOLK:フェア・ヘブンの反乱 ★我々は異星人を受け入れる、彼らも我々を受け入れるわ ホロデッキのキャラクターは、自分がホログラムとは気付かない。ホロ世界と関係ないことに疑問を持たない。このお約束が24時間稼動で生じたシステム異常と、トムがリアリティを持たせようとキャラに細工したことで、崩れてしまったフェア・ヘブン。街の人たちの目線だけでストーリーが進めば、よくあるドラキュラ映画みたいになるのでしょうか。ヴォイジャー=悪魔の側から見るから、彼らの勘違いぶりが愉快。 悪魔と大騒ぎする酒飲みじいさん2人と比べれば、マイケルは論理的かつ理性的で柔軟な考えをする人。さすが艦長がカスタマイズした人物です。しばらく時間を置いて、マイケルとフツーに(と言うのも変な言い方ですが)デートしてる艦長。ドレス姿で穏やかな表情としゃれた会話。全員が部下のヴォイジャーでは、こんな些細な楽しみも艦長には難しいのですね。そのためだけではないと思いますが、円満な解決を望む艦長がよかった。 今回のホロデッキ組は「キャプテン・プロトン」のメンバーでしたね。トゥヴォックとセブンが無関心なのは解りますが、ベラナも興味がないのはクリンゴンだから?。今回も毒舌が冴えてました。強烈なイヤミにも艦長は動じませんが(苦笑)。 ブリッジに出現したマイケルに、露骨にイヤそうな顔をする副長。前回、艦長の逢引をからかったのは、やはりジェラシーだったのね(爆)。そんな彼をチラチラ見ながらマイケルに真実を告げる、何とも言えない微妙な表情の艦長。マイケルを連れて艦内を歩いてる時、いつもなら必ず前を向いて歩くエキストラクルーが、艦長たちを振り返って見るのが面白い。 悪魔だと思ってた人たちが、実は自分たちを作った創造主と知った街の人たち。群集心理が働いたのか、悪霊祓いをエスカレートさせた割には、物分りが良すぎるような気がします。そのあたりはホロキャラ故でしょうか。生殺与奪の権を握ってるヴォイジャー側が、人物のパラメーター変更や、記憶操作をしないで事態を終結させられたのは、これまでに信頼関係を築いてたからですね。特に艦長とマイケルが(笑)。 何があっても懲りないヤンチャコンビのトム&ハリーならまだしも、艦長までが開放政策を終わらせる前に、もう一度楽しみましょうですって。「おごるわよ」と笑って言う艦長の後ろでため息ついてるベラナがかわいい。 細かいことには拘らない私でも、ツッコミ所がいくつもあるエピでしたが、たまには艦長が羽を伸ばすのもいいでしょう。眉間にシワ寄せて頭を抱えるような事態ばかりが続けば、艦長は過労死してしまいます。 ASHES TO ASHES:帰らざる時 ★髪は私の専門でね、そうは見えないかもしれないが 第6シーズンで初のハリーのお当番エピソードは、いかにも彼らしい報われない恋物語。スタトレのお約束「レギュラークルーとシャトル任務に出る名も無き少尉は必ず殉職する」は、実際の描写がなくても健在でした。 リンジー・バラード少尉は3年前にハリーと同行した任務で死亡。宇宙に流された遺体はコバリ人に回収され、遺伝子操作ののち蘇生します。その過程で消えるはずの生前(彼らが言う前世)の記憶が残っために、そこで始めた新しい生活を捨ててヴォイジャーに戻ります。 コバリ人の姿で突然現れたバラード少尉は、再びクルーに迎えられ以前と同様に仕事し、ドクターの治療で元の姿に戻ります。あれこれ世話を焼くハリーが彼らしくて微笑ましい。珍しく艦長がクルーとディナー。その席で少尉に「どうして私だったのですか」と、疑問をぶつけられた艦長。これは辛い問いですね。答えようがないし、実際答えてませんが。 彼女がヴォイジャーを探したのは、ハリーに会いたかったのも理由でしょうが、本当は「何故、自分に死が必要だったのか」を知りたかったからではないかと思います。死んだことが納得できない。今は生きてるんだから。でも生きてるのも納得できない。一度死んだのだから。懐かしい艦で地球人の姿になっても、本質はコバリに変貌していると気付いてしまったら、コバリに攻撃されなくても艦を去るしかなかった。探した答えを見つけてなくても、もうここは自分の居場所ではないと、認めざるを得なかった彼女が哀れです。 原題はキリスト教で死者を埋葬する時に、牧師(神父?)が言う「土は土に、灰は灰に、塵は塵に」が由来だそうです。今、本当にいるべきところに戻る。ヴォイジャーは少尉にとって過去でしかなく、そこへ戻ることはできない。まさに「帰らざる時」。 Bプロットはセブン先生による「ボーグの子供」の教育。個を認めないボーグから開放された彼女が、他ならぬボーグ式の教育を施して子供たちに反発されてお手上げ。個人に適応しはじめる速さ、さすが子供です。セブンを先生にしたのはボーグの先輩というだけではなく、失った子供時代を追体験させる意味もあるので、艦長も副長もお役ご免は認めません。これで少しは艦長の苦労が解った?あなたはもっと強烈に反発したのよ!。 セブンもボーグの子供たちも、本来の姿を取り戻し、本当にいるべき場所へ戻ろうとしているわけです。セブンはヴォイジャーに自分の居場所を見つけました。子供たちがバラード少尉のようにならなければいいのにと思います。 相変わらず料理がダメダメな艦長。せっかくレプリケーターで作るのだから、完成品を出しましょうよ(爆)。お茶目な艦長を見られるのは嬉しいけど(笑)。 CHILD’S PLAY:苦悩するボーグ・チャイルド ★僕は許してもらえるかな 子供たちはヴォイジャーの生活にも慣れ、セブンの個性重視の教育は上々の成果を上げているようです。得意な分野もできたようで、研究発表を見る艦長も満足げ。メゾッティのアリの巣を見たときだけは、ビミョ〜な表情でしたが。虫は今でも苦手?。 両親が見つかったイチェブ。同化される前の記憶がなく、戸惑いながら両親と元の自分を受け入れていく彼を、複雑な思いで見守るセブン。優秀で好青年だからか、彼に人間に戻ったころの自分を重ねるのか、ただ単純に手放したくないのか、冷静な彼女らしからぬ感情的な言葉や態度ですね。夜中に艦長の部屋に現れたり、メゾッティの記憶からイチェブの両親のウソを確信して、午前3時に艦長をたたき起こしたり、イチェブの両親にはケンカを売る始末。一生懸命なんだけど結構はた迷惑(苦笑)。 20代半ばの女性としたら、彼女の感情はかなり単純です。人の心を推し量ったり、相手の立場で考えたりできないし、自分の言葉が他人に与える影響も解らない。効率優先な見方をまず第一にしてしまう。でも単純だから素直なのかもしれません。特に艦長に対しては素直と言うか率直。だから言い合いにもなるわけです。態度と言葉遣いは横柄ですが、艦長には自分の弱みを現すことが多々あります。このエピソードでも何度か認めてました。艦長は「珍しい」と言ってましたが、そんなことはありません。 このエピに限りませんが、ボーグがからむと平静ではいられないセブンを見る艦長の眼差しは、いつも優しく暖かい。あんな慈愛に満ちた表情で見つめられたら、そりゃ素直にもなるでしょう。彼女の心の内を理解した上で、じっと見守りアドバイスする。艦長の懐の深さは、まだまだお子ちゃまセブンの及ぶところじゃないですね。 故郷を守るために再び兵器として、ボーグに向かう宇宙船に乗せられたイチェブ。ボーグには何度も苦しめられてきたヴォイジャーが、同じようにボーグの脅威にさらされたブルナリ人の戦略のジャマをしてしまう。悲しい図式ですが、犠牲になるのがイチェブの意思ではないから、助けるのが人道的に見ても妥当でしょうね。 二度も両親に捨てられて、それを責めたり恨んだりせず、「僕は許してもらえるかな」と言うイチェブ。まだ人間的な感情の全てを取り戻してないことが、救いかもしれません。 GOOD SHEPHERD:自立への旅 ★到達まで4・3・2・1・・・のはずです(^_^;) ヴォイジャーの外からカメラがズームして、作戦室の窓辺に立つ艦長にピンが行く。船体は毎回映りますが、中まで見通したのは初めて。CG技術の進歩はすごい。今回は他にも最下層の第15デッキと、そこから船外を見るなど、初登場の場所やシーンが見所です。 デルタ宇宙域の旅も6年。平穏無事とは言えなくても、艦内では何の問題もなく日常業務は行われていると思えば、ヴォイジャーのボーグクイーン(←byベラナ)によると、人員の配置や効率性に問題アリだそうです。何故セブンが評定するのか疑問ですが。これでは人事担当の副長にケンカ売ってるようなものです(苦笑)。 環境や仕事に馴染めないのはよくあること。アルファ宇宙域にいたら配置転換や、除隊も可能でしょうが、ヴォイジャーでは望んでも無理。結局は最低限の任務を与え、見てみぬ振りをしてきた副長の対応もむべなるかな(^_^;)。しかしセブンに指摘されれば、放っておけないのがヴォイジャーの女王様。3人のオチコボレを連れて船外任務、これこそ無謀です!。とはいえ何があってもクルーを見捨てない艦長スピリットには頭が下がります。セブンだって何度も救われてるのに、自分の使えない部下はあっさり切り捨てる。人間の器の違いですかね。 「ヴォイジャーの中でなら、ミスをしても誰の生命も脅かさない」という頼りないセレス。何かというと病気に逃げるテルファー。理論の構築が日々の全てで、他人との関わりを拒否するハレン。私など身につまされたりしますが、どれも艦長には許されないことです。でも、彼らが表出する弱さは、艦長の心の内にあるものなのかもしれません。だから彼らに向ける言葉には真実が込められているし、彼らが変わるスプリングボードになったのだと思います。 もっとも引きこもりだけど実は有能なハレンには、艦長の原罪や罪悪感まで正面切って言われて気の毒でしたね。解り合おうとアプローチするのに、ことごとく拒絶して・・・。ヤレヤレって表情する気持ちは充分解ります。それでも有言実行、最後まで投げ出さない。 デルタフライヤーの大危機を前に、頼りないセレスが見せた勇気。土壇場での腹のくくり方は艦長譲り?。ハレンも現状にもどかしさを感じてはいたのですね。最下層にこもっている彼が、どんな時も、何をする時も、艦長はクルーの生命を背負い、いつも命を張っていることを初めて目の当たりにして、自分との余りの違いに驚いたのでしょう。 原題は「良き羊飼い」。エピの中で艦長がセブンに話していた時は、艦長の理想のような言い方でしたが、ラストの医療室で、迷子の羊は見つかったかと副長に問われて見せた笑顔。3人がそれぞれ何かを掴んでくれたことが、嬉しかったのでしょうね。 今回の一番のツボは、衝撃波の接近をカウントダウンするセレスが言った「・・・のはずです」。頼りなさも極まったと言うか、ここまで来ると他人とは思えない(爆)。 LIVE FAST AND PROSPER:宇宙詐欺師ダーラ ★想像してたよりあなた、ずいぶん背が低いのね 原題は「長寿と繁栄を」ならぬ「放埓と繁栄を」又は「太く短く」でしょうか。これを見たら誰しも思うのが「ニセ水戸黄門」。もしくは某ギャグアニメの「三悪」。本物以上にふてぶてしいニセ艦長。ビミョ〜に違う制服とコムバッジがイカしてます(笑)。ニセモノが出るのは一流の証し。とはいえ泥棒はヤバいです、ハイ。 単純で古典的な詐欺にまんまと引っ掛かる異星人たちを笑って見てたら、それより前に自称「しっかりモノ」のトムとニーリックスが一杯食ってました。ハリーなら騙されるのも解ると言ってましたが、人の善さは3人とも同じよーなもんです。小さな部品と食料の交換くらいなら誰でも引っ掛かりそうですが、ほんの1〜2分でごっそりデータをダウンロードされてしまうなんて、ヴォイジャー(デルタフライヤー)のセキュリティは甘すぎませんかね。 今回の艦長は駆け引きがシタタカでした。騙された異星人から詐欺師のデータをゲットする手腕の見事なこと。この場面でトムとニーリックスがおマヌケ扱いされて落ち着かない態度とか、ホロデッキのイタズラを怒ってるのか冷たいトゥヴォックとか、笑い所が満載です。 とっ捕まえたダーラと対面する艦長。なにげに楽しんでるような?。でも「思ったより背が低いのね」と言われて、ちょっちムっとした?。トゥヴォックをチラチラ見ながら「私たち似てるわよ」といくつも美点を挙げて(苦笑)。でも違いが一つ「私は泥棒じゃないの」・・・ですか。あー忘れてませんか?。ボーグからアレをゲットしたでしょ。 「ウソをつかない」というのは確かにそうですね。とんでもない大ハッタリはかましてますが、艦長が言ったわけではないし。こんなアドリブ作戦まで付き合わされる戦術士官、ヴァルカン人だけに気の毒さも倍増です。もっとも大マジメな顔で言うから効き目はあったようで、ムショ送りは御免とばかりにあっさり脱出。ニーリックスがまたやられてマヌケ〜と思えばさにあらず、すでに作戦は始まってたわけですね。彼がフェイザーを持ってたのも不自然だし、通路を誰も歩いてない。これも古典的な手だなぁ(^_^;)。 ラストのドンデン返しはなんと言うか、その手があったのか〜。ダーラが改心するわけないと思ったけど、一生懸命「艦長!!」って呼びかけてるのを見てたら、艦長はいつの間にダーラを丸め込んだの?と思ってしまいました。私もマヌケだわ(爆)。余ほど気に入ったのか、トゥヴォックになりきってるモバー、最後に本物に対面してよかった・・・のかな?。何にせよダーラのような小悪党が艦長に勝とうなんて10年早いってもんです。それにしても、ドクターは便利ですねぇ。女言葉も完璧(^_^)v。 艦長も寝起きはボ〜っとしてて動作がスローモーなんですね。耳ふさいでる間に止めましょうよ、ソニックシャワー。艦長なら目覚めはまずコーヒーでしょう。 MUSE:ヴォイジャーの神々 ★艦長にちょっと遅れると伝えて ある惑星にデルタフライヤーで墜落したベラナが、助けてくれた異星人の芝居作りに協力する。その芝居のテーマはヴォイジャー。仮面劇で演じられるクルーと、艦内のシーンがうまくシンクロしています。後は脱出するために頑張るベラナと、芝居のために逃がしたくない詩人ケリスの脅しあいとか、断片的な記録から読み取った艦内の日常を、デフォルメして・・・と言うか、曲解して筆が滑っていくケリスと、真実を知っているベラナとのやり取りががいい感じ。エピソードとしてはそれだけ。ほんとにそれだけ(苦笑)。 SFが好きな人や、目の肥えたスタトレファン、画面に映ったものをストレートに見る人にはおもしろい話しではないでしょうね。でも艦長マニアなヴォイジャーファンの目で見ると、深読みのし甲斐がある実に面白いエピです。 これを書いたのはジョー・メノスキー氏。大作2パーターではブラノン・ブラガ氏と2人で艦長のキャラを壊しているとしか思えないストーリーを書く彼が、単独作品になるとDVDで何度も見るエピ、つまり艦長マニアの心をくすぐる話しをたくさん書いています。語弊があるのを承知で言えば、派手な艦隊戦などなくても、SFテイストがなくても、印象に残るエピは書けるということです。 これはメノスキー氏最後の単独作品。それも考えてこのエピを見ると、劇中劇のセリフや異星人の口を借りて、彼は本心を吐露しているのではないかと思えます。ケリスは「客が望むのは刺激や情熱だ」と言い、芝居にいろんな要素を入れ盛り上げようとする。それがヴォイジャー製作側のスタンス。 だとすると彼に「客の要求だけを追求すると、いつしか本質を見失ってしまう。本質を掴んでいれば小細工など必要ない」と言う老人の言葉こそがメノスキー氏の本音。例をあげれば、ボーグクイーンとヴォイジャーを対決させる⇒クイーンがセブンを拉致⇒救うためにはトランスワープが必要⇒コイルを奪う。でも艦隊士官(艦長)は泥棒などしません。 かつてレオナルド・ダ・ヴィンチに「権力者の影響を受けずに生きては行けない」と言わせたメノスキー氏。ストーリーを際立たせるために、キャラ設定を改悪したこと、最後には復活するとはいえ一度ならずキャラを殺したこと。思い入れを持って見ている人には、決して愉快ではない場面を書いたのは本意ではないと、ここで言っておきたかったのかもしれません。 それともう一つ、メノスキー氏は艦長の幸せなプライベート・ライフを書きたかったのではないかと思います。地球にいたらマークと結婚して、愛ある生活を送っているはずの艦長が、デルタ宇宙域で埋められない孤独を抱えて流離っている。でも副長とのプライベートディナーなど、シッパーの煩悩を直撃するシーンをてんこ盛りに入れることで、艦長自らが禁じているような「幸せ」を、実は既に手にしているのだと暗に言っているような気がします。 艦長がプロトコルをタテに意地を張ってるのか、副長に押しが足りないのか、付かず離れずの「大人の関係」がオフィシャルですが、彼の手にかかればいわゆる「既成事実」の上にどっかり乗っかって居直ってるような密着ぶりですからね。 と言う訳で一番のツボは、劇中でフェイク艦長がフェイク副長に言った「この艦の全ての女性ができることを私だけ諦める必要があるかしら」ですね(爆)。「あなたに触れることを」とか言いながらキスするフェイクの2人。そんなことは知る由もない本物の2人、触れるどころか近寄りもせず、仕事の会話のみの白々しさ。変わりに艦長は珍しくトムに触ってましたね。そうそう、ブリッジでイビキをかいて居眠りするトゥヴォックもツボでした。ヴァルカン人のイビキ、前代未聞ですね。 FURY:帰ってきたケス ★それでも帰る気は変わらないの? ヴォイジャーを初めて見たのは1年半ほど前、「9才のケス」でした。このエピソードからケスがロングヘアになったので、大人の女性だと思ってましたが、第4シーズン2話で艦を降りているので、DVDを見るまでは、正直なところ彼女の印象は薄いものでした。 DVDの第1シーズンを買った7ヶ月前、ショートカットのケスを見てとても驚きました。その幼さ、キラキラと好奇心に輝く目、1秒も無駄にしたくないかのようにキビキビ動く小さな身体。そして何よりも艦長が彼女を見る時の優しい表情、愛おしむような笑顔。2人の間には任務や階級に縛られない、穏やかで愛情に満ちた関係がありました。私はそんな2人を見るのが好きでした。 このエピで、怒りと復讐心に支配されたケスについては、余り語りたくありません。人間を超越した存在になったケスが過ごした3年間の描写が全くないので、変貌した彼女をどう見ていいのか解らず戸惑いが消えません。ある程度の内容は知っていましたが、実際に荒んだケスを見たショックは小さいものではなかったとだけ、言っておきます。 しかしエピについては言いたいことが山ほどあります。愛情を持って成長を見守り、更なる成長を遂げようと艦を出るケスを涙で見送った艦長。その艦長がケスを射殺するなんて考えられない。倒れたケスを見る艦長の辛そうな表情。こんな残酷なシーンが、何のために必要だったのでしょう。タイムパラドックスで無かったことになるなら、何をしてもいいと考えたのでしょうか。ケスが帰ってきたのは別の時間軸の出来事、または可能性の未来と有らざるべき過去だと思おうにも、その時間軸の艦長は体験しているのです。 まして初期シーズンで未来に起きる出来事を、実は既に知っていたというのは、見ていて虚しくなってしまいます。いずれは避けて通れない出産、育児に準備や施設が何もないと頭を悩ませていた矢先に、ワイルドマン少尉から妊娠を告げられ、それでも「おめでとう」と笑って言った艦長。それはナオミが無事に成長しているのを知っていたからだと、今ごろ言われても興ざめするだけです。「艦長はすごいなぁ」と思って見ていた私はただのマヌケ?。これではキャラクターや番組に、思い入れを持って見るなと言っているようなものだと思います。 制御できない超能力に混乱し、自分を見失っていったケスの、助けてほしいという声にならない声が艦長に届いたから、タイムループを断ち切り、故郷へ帰る結末を迎えられた。彼女が思い出したヴォイジャーでの楽しい日々は、いつも艦長の母のような愛に包まれていた日々。でも、かつてのケスを取り戻すために払った艦長たちの辛い代償。悲しすぎます。 転送室で再びケスを見送る場面で、2人を隔てる見えない壁。二度と会えない永遠の別れの時に、「さよなら」としか言えなかった艦長。変貌してしまった愛する人の全てを、目に焼き付けようとしたニーリックス。自分がもたらした苦しみに黙って耐えている艦長たちを見て、ケスは何を思ったのでしょうか。 脚本が良識的な話しを書くブライアン・フュラー、マイケル・テイラー両氏なのに、こんなのを書くなんてと思っていたら、2人は脚色しただけで原案はブラノン・ブラガ&リック・バーマンの御大2人でした。これはもう諦めるしかない。タメ息が出るばかりです。 1本掛け違ったようなエピでも、凛々しく指揮する副長がかっこよかったり、初期ドクターをキッチリ演じていたピカードさんに懐かしさを覚えたり、お馴染みのアイヤラ大尉にセリフがあったりと、見所はそこそこ(苦笑)。あとは冒頭の艦長。怖い顔してトゥヴォックに難癖つけてどうなってるのと思えば、サプライズ!だったわけですね。ちょっと困った顔のトゥヴォックに、極上の笑顔を向ける艦長。それも2回も。後の展開はともかく、ここは必見です。 LIFE LINE:ジマーマン博士の屈辱 ★髪の毛がゴソっと抜けた ネクスト・ジェネレーションのバークレーとトロイが再登場。あと第3シーズンにホログラムで出てきた時よりも、ぐんと老けたジマーマン博士も。バークレーが関わる「パスファインダー計画」が進展して、月一ですが艦隊本部と定期的に連絡がとれるようになったのは、ここへ来て大きな進歩ですね。とはいえ、それが伝えられる会議室の場面と、医療室、作戦室くらいしかヴォイジャークルーが出てこない。トゥヴォックなんてセリフがなかった(爆)。 エピソードとしては先が読めるし、思い切り言いたいことを言い合うのは、見ていて余り気持ちのいいものではありません。ドクターの傲慢さや、自意識の強い自惚れ屋で、頑固なところなど、これまでに散見された短所は、全て生みの親のジマーマン博士をコピーしていたのが判ったのは良かった点?。この2人を見ていたら、我らが女王様の頑固さなど、かわいらしいものです。少なくとも「大バカもの(←byトロイ)」ではない(笑)。 人生最大の汚点、挫折、屈辱。ジマーマン博士の前に現れたドクターは、博士が封印したい思いをえぐる存在だったのですね。以前のエピで「地球に戻れば賞賛されるだろう」と言うドクターに、セブンが「バージョンアップされるか、削除かどちらかだ」とクールに言ったのが残念ながら当たってました。他のEMHマーク1の末路は哀れです。プラズマコンジットを掃除するドクターは見てみたいですけど。 人間性の獲得や人権のことなどで、ドクターはTNGのデータと比較されますが、他人がプログラムのON/OFFを自由にできるホログラムのほうが、常に存在しているアンドロイドよりも「物扱い」されてしまうような気がします。ヴォイジャーにいるからこそ仲間として認められ、医者として有意義な日々を過ごせるのだと、これで感じているといいのですが。 一人二役の撮影技術の巧みさ、演じるロバート・ピカードさんも見事でした。ドクターはホログラムらしい単純でストレートな感情を、ジマーマン博士は長い人生を生き、屈折した複雑な心の内を持つ人と演じ分けていました。吹き替えも大変だったと思います。 ただし艦長マニアの目は、長々と続いた木星ステーションのシーンは素通り、わずかに映った艦長の美しいお顔に満足(苦笑)。艦隊と連絡ができるようになったと、単純に喜べないのですね。今ごろになってマキのことを言われて。死傷者の報告も辛いでしょう。自分たちの処遇がかかっているのに、余裕綽々な副長がしっかりお慰め申し上げるようですけどね。 THE HAUNTING OF DECK TWELVE:呪われた12デッキ ★お菓子なんか無意味よ 前回が豪華ゲストのエピソードで、評判も良かったようですが、私は今回の方が好きです。人気はないようですが(苦笑)。艦の全パワーを切るため、暗闇の中ボーグの子供たちが怖がらないように、お守りを任されたニーリックス。子供たちはゲームよりも暗闇になった真相を知りたがり、結局ニーリックスが数ヶ月前の、発端となった出来ごとを話します。 ここから登場するヴォイジャークルーは、ニーリックスの物語の中の人物なので、いつもと微妙に違うのが面白い。作戦室での艦長と副長は、仲良さげな前回と比べると何だかよそよそしいし、トムが珍しく不幸な目にあってます。何より艦長が真剣にヴォイジャーに話しかけてる(笑)。トゥヴォックが物分りよく、ニーリックスに優しいのも良い感じです。 ヴォイジャーに起きた異変が、侵入した未知の生命体が原因だと判明しますが、道に迷って途方に暮れる子供みたいです。それもかなりの駄々っ子(爆)。通信システムでコミュニケートできるようになると、艦長をいいように振り回すわ、思い通りにならないと逆ギレするわ、最後は艦長の説得にも耳を貸さず、総員退避に追い込んで我を通そうとするワガママぶり。 対する艦長は冷静かつ的確に判断して、ヴォイジャーの危機に一つずつ対処します。艦に一人だけ取り残されてからは、命懸けの強情くらべ。絶対に屈しないという鋼の意思の前に、さすがの駄々っ子も折れましたね。 ・・・という話しを聞いてる子供たち、それぞれの反応が個性的。想像力豊かなメゾッティは、先走って話を膨らまそうとするし、無口な双子クンは完全に腰が引けてる。科学的に説明しようとするイチェブも、不安な表情は隠せない。 自分の意志や意識がないボーグは、その中にいる限りは不安も恐怖も無いかわりに、集合体から切り離されると、まず1人になった恐怖に襲われるのですね。元ボーグの人たちに感情が乏しいのは、心のないボーグ生活だったことに加えて、最初に取り戻す感情が恐怖だからかもしれません。セブンも意外と怖がりですからね。 頑張ってるようだけど、相変わらず困ったちゃんのセレス。ワイルドマン少尉のような穏やかな人に指導してもらったほうが、彼女のためになるのでは?。子守りは上達しましたが、まだセブンには人を伸ばすだけの度量はないと、エピと関係ないことを思ってしまいました。 ニーリックスのお話しのおかげで、数時間に及ぶ暗闇の中でも子供たちは退屈せず過ごしましたが、物語がウソと判り、正直ホっとした表情を見せながらも強がりを言うところが、子供らしくていいですね。ラストのどんでん返しも気が利いてます(笑)。 UNIMATRIX ZERO PART1:聖域ユニマトリックス・ゼロ パート1 ★何かしておくことはありますか、重力装置の調整?カーペットの掃除? 第5シーズン以来のボーグ直接対決エピソード。ボーグネタは怖いので苦手なのですが、今回は首チョンパのドローンがグロかったものの、これまでのような圧倒的な恐怖感、例の「抵抗は無意味だ」に代表される手も足も出ないような恐ろしさが、余り感じられませんでした。怒涛のようなイクワノックスで始まった第6シーズンが、それ以降は最後まで地味でした。好きなエピ、シーンはたくさんあったので、地味でも私は満足してますけどね。 変異ドローンの楽園、ユニマトリックス・ゼロ。再生中だけ訪れることができる、個人でいられる仮想空間。少女のころからセブンもここに来ていたそうで、異星人のアクサムはどうやら恋人だったらしい。ユニマトリックス・ゼロでは、セブンも個人として精神面の成長は、順調だったわけです。でも本来の彼女は6歳で時間が止まり、集合体から切り離されてようやく時計が進み始めたところで、再会したアクサムとのかつての恋愛を知り動揺が隠せない。 ヴォイジャーでは1つのエピで、出来事や人物を対比させ表現することが多いようですが、今回は仮想でも普通の女の子として人を愛したアニカと、大人になりきっていない未熟な現在のセブンの不器用な恋愛。また、そんなセブンと、深い信頼で結びついた艦長と副長の揺るぎない大人の関係も、対比しているように思います。 変異ドローンのために、戦略キューブに乗り込もうとする艦長。忠告は聞いてもらえないと解っていても、少しでも艦長を守ろうと言葉を尽くす副長。2人のやりとりは、緊張感ではじけそうだった「生命体8472」の対立とはまるで違って、お互いの気持ちを全て理解した上での会話。艦長が珍しく素直だったのは、今度は副長も同じ方向を向いていたからです。 最初に見たときは気付きませんでしたが、これって本当に決死のミッションなんですよね。ストーリー展開が早かったのと、合い間に挟まれるJ/Cモードに眩惑されてましたが、普通に考えたら無事に帰ってはこられないのでは?。見送りには無意味な副長の言葉は、必ず生きて帰ってきて欲しいと、艦長を止められない彼の思いが込められた精一杯のセリフ。 言葉少なに答えた艦長も、副長の気持ちが判らないはずはない。だからブリッジで2人は手を握り、じっと見つめ合い別れたのですね。6年間で積み重ねてきた信頼の前には、言葉なんて不要です。それだけに見ていて切ないわけですが。 あとは予想していたとは言え、衝撃的だった艦長、トゥヴォック、ベラナの同化シーン。艦長の悲鳴と、薄笑いを浮かべてそれを見ているボーグクイーン。「わ〜っ」なんて、こっちも思わず声が出てしまいました(苦笑)。副長のセリフで予定の同化だと判りましたが、艦長コワい。コワ過ぎる(爆)。これでどうやって人間に戻るのでしょう。続きが待てません。 |