REVIEW:SEASON7

とうとうラストシーズン、ヴォイジャーは故郷に帰れるのか?
7万光年の旅の結末は?
最終回まで目が離せません!!

 道は星雲の彼方へ

 

UNIMATRIX ZERO PART2:聖域ユニマトリックス・ゼロ パート2

★艦長への忠告は時に命取りになる。判ってるのか

 ボーグに同化され危機一髪。いえいえ、ナノウイルスのおかげで意識は明瞭。キューブの中枢にさっさと侵入した3人。ボーグもヴォイジャーの敵ではない!・・・とはいきません。やはりクイーンは一筋縄ではいかない恐ろしい人です。艦長とクイーンの相性も、とことん悪そうだし。トゥヴォックが簡単に完全に同化されましたが、テレパスは思念を受信しやすいのでしょうか。身体が小さくてパワーはなくても、女傑2人の精神的なタフさには感心します。

 ホロ映像で対面した艦長を、じわじわと追い詰めるクイーン。1人の変異ドローンのために、何万人もの無関係なドローンを抹殺する冷酷さ。美しいクイーンに心が無い。印象的な大きな瞳が、キューブを破壊するごとに少しずつ潤んでくるように見えましたが、悔いも罪悪感も感じられない。対する艦長は、この事態をどう打開するのか。簡単には屈しない人だけに、更なる犠牲を生まないか、それが心配です。

 残されたヴォイジャー、艦長を助ける時の副長は、相変わらず別人のような俺様ぶり。本当は優秀な指揮官ですから当然なわけですが。そんな彼を従える艦長がすごいというべきか、艦長のサポート役に徹する、通常時の彼の忍耐力を誉めるべきか?。いずれにせよトムやハリー、勿論ドクターも、リーダー2人との差は、まだまだ大きいですね。

 ただ、留守番組も頑張ったのですが、対ボーグのおいしいところは変異ドローンの1人、クリンゴンのコロックが持って行っちゃった感じで少々残念。あの短い時間でスフィアを制圧した彼をクルーにスカウトしたら、これからのボーグ戦略に有効かも(苦笑)。

 冗談はさておき、クイーンの静かな恫喝。生命を大切にする艦隊士官の、ある意味で弱点とも言えるところを突いてくるあたり、よほど艦長に対する憎しみが深いのでしょうか。大事なセブンを奪回され、コケにされた恨み?。ドローンに心はないけど、クイーンには自分勝手な感情だけはあるようです。

 ホロ映像で医療室に現れた艦長の命令を、言葉通りに受け取ったドクターとセブン。言葉に込められた真の意味を、正確に受け取った副長。このエピでは艦長+副長の無形の繋がりが、他の誰よりも強いと言いまくってますね。さすがのクイーンも、リンク装置で繋がっていなくても伝わる真実は理解の及ぶところではない。二度目の女王様対決。今回は艦長と副長の信頼の強さと、ぎりぎりで引き際を見極めた艦長の冷静さが勝ちを呼んだわけです。

 艦長を医療室へ見舞ったのがセブンではなく、副長だったら最高のシメだったのに。私が艦長マニアなせいかもしれませんが、このエピでセブンのロマンスは要らなかったように思います。アクサムがかつての恋人じゃなくても、きっとヴォイジャーは助けに行くし、途中で挟まれるユニマトリックス・ゼロのシーンが長くて、ボーグと対決してるという緊迫感が感じられません。「生命体8472」に緊張感が有りすぎたのかもしれませんが(苦笑)。

 これでヴォイジャーもラストシーズンに入りました。最終回のあらすじを知っているのは残念ですが、そのためにいくつか疑問を持っています。これからのエピを楽しみながら、その疑問を一つずつ解明していきたいと思います。


IMPERFECTION:セブンの涙

★私から言っておくよ、頑固は無意味だと

 エザンとレビの同胞が見つかり、メゾッティも一緒にヴォイジャーを降りることに。双子クンはほとんどセリフがないままでしたね。メゾッティは個性的で可愛かったのに、あっさり降りてしまって残念です。寂しい表情で見送ったセブンの肩を、そっと抱いて励ます艦長。別れを悲しむ気持ちを持つことも、セブンの成長の証し。

 とはいえセブンの成長を喜んでいられる場合ではなく、皮質ノードの機能不全(これが原題ですね)で再生できなくなり、このままでは死は免れない。それを知った艦長はセブンを救うため、交換用ノードを求めてキューブの残骸をあさりに1人で行こうとします。デルタフライヤーのパイロットを志願するトム、危険なミッションには必ずついていくトゥヴォック、副長の強力な押し。一致団結する「女王様の親衛隊」に、さすがの艦長も抵抗は無意味でした。

 ドローンの死体からノードを取り出し、偽ケイゾン(?)に追いかけられつつ無事に帰還しますが、肝心のノードがセブンに適応せず万事休す。死んだドローンのノードがダメなら、生きたドローンから奪うと無茶を言う艦長。かつて瀕死のケスのために、必死で試練を受けたエピソードを思い出します。しかし彼女の死を受け入れることも必要だとドクターに言われ、無念の思いと言葉を飲み込む艦長が切ないです。集合体にいたら簡単に直るのに、そこから切り離したが故の事態ですから、艦長には自分が与えた苦しみだと思えるのかもしれません。

 医療室から脱走したセブンは、珍しくベラナと話しをします。ボーグなら個人の記憶や経験は、個体の死後も集合体の意識に残る。しかし個人になれば、死ねば全てが失われてしまう。この世に存在したことさえも。あなたを忘れない、それがあなたの生きた証しというベラナ。仲間の死を乗り越えてきた人の言葉に、死を受け入れるセブン。

 否認、怒り、取り引き、抑うつ、そして受容。こうして死を受け入れるのだとある本で読みましたが、たとえ何時かは途切れてしまうのだとしても、自分の知識や存在、ふれ合った日々が誰かの心に残るから、人は死を受け入れられるのかもしれません。もっとも効率第一のボーグ流の考え方のためか、セブンはさっさと最終段階に達してしまいますが。

 対立から始まった艦長とセブンの関係。3年の時を経て互いに大きな信頼を寄せるに至ったのは、何度も描かれてきました。でも艦長がセブンに対する思いを、本人に言うのはこれが初めてでしょう。自分の死を艦長が受け入れないのは、期待に応えられなかったことに失望し、任務に失敗したと思っているからだというセブンに、そんなことはない、期待した以上に成長したと。あなたを失いたくないのと、うっすらと涙を浮かべて言う艦長。セブンはどうか解りませんが、私は艦長の涙目には弱いです(苦笑)。

 ヴォイジャーきっての頑固者セブン、ドクター、艦長。今回はイチェブまでがそれに仲間入り。4人が勢ぞろいした会議室での議論、みんなセブンを助けたくて必死なのに、今回は拒むセブンの頑固勝ちかと思えば、彼女を誰よりも慕っているイチェブが、決死の覚悟で自分の皮質ノードを切り離す荒業を敢行。命懸けのイチェブの説得、最後にオイシイところを持って行きましたね。

 回復を待つイチェブを見舞い、涙をこぼしたセブン。二度の涙の対比は上手いですね。プロローグでは、インプラントのある左眼から流れた涙は機能不全が原因。エピローグでは、後ろからスキャンするドクターの言葉を待つまでもない(笑)。初めての涙が悲しみの涙ではなかったのが、これまでの彼女の3年間を思えば何よりよかったと思います。

 本筋とは関係ありませんが、皮質ノードを交換するシーンのCGは見事ですね。違和感がないどころか、本当にセブンの額に穴があるみたいに見えました。それとトムが指輪をしていました。いつの間にベラナと結婚したの?。


DRIVE:愛の危機

★跪きそうだからさ。そんなのカッコ悪い

 前回、デルタフライヤーが当り前のように修理されていたり、トムが指輪をしているのに何のコメントもなく、ヘンだなぁと思っていたら、このエピソードの方が放送順は後でも宇宙暦は先だったようです。ボーグクイーンの登場や、セブンの生命の危機など、緊張感のある話しの後はお気楽な星間レース。

 新型デルタフライヤーのテスト飛行中に知り合った異星人から、レースに誘われたトムとハリー。出場許可を得ようと懸命に説明しますが、渋い顔の副長とトゥヴォック。艦長も険しい表情で聞いてる・・・かと思えば、全員が驚くほどアッサリお許しになって(苦笑)。マキの反乱なんて剣呑なホロプログラムも密かに楽しんでしまう艦長ですからね。「必ず勝つこと」ですか、さすがは我らが女王様(笑)。

 ようやく取れた2人一緒の休暇のために、ホロデッキの使用権を借りてまわるベラナ、クリンゴンとは思えない可愛いらしさ。優秀なエンジニアで毒舌家、時々キレて怒りまくったりする彼女が、トムの前では恋する乙女そのもの。なのにいつまでたっても遊び優先の困ったトム。レースに燃える彼を複雑な思いで見ているベラナをフォローするニーリックスがいいですね。

 ヴォイジャー中がレース熱に浮かされ、ニーリックスの絶妙の実況中継もあり、天体測定ラボに艦長以下クルーが大集合。報告を持ってきたのに艦長に後回しにされ、呆れたといった風情のトゥヴォックまでしっかりハマってます。みんな揃ってノーテンキ。でもこーゆーのは好き。

 しかし肝心のデルタフライヤーでは、邦題の通り「愛の危機」。ギクシャクするトム&ベラナ。見てるほうは「名誉の日」から3年間、あれだけイチャイチャしといて何をいまさら、好きなのに素直じゃないんだから〜と思いましたが。テレパスでもなければ、相手の気持ちの全てを知ることはできないわけで、不安や惑う気持ちを埋めてくれるものが欲しい。それは言葉だったり、キスだったり、指輪だったり。

 それにしても、窒息寸前まで愛の告白ができなかったベラナ。爆発寸前にプロポーズするトム。この2人のロマンスはドラマチックというか、見ていて気がもめるというか(苦笑)。物理的な距離の近さが、逆に2人の「春」を長くしたのでしょうか。

 艦長の粋な計らいで休暇をゲット。結婚式のシーンがなかったのは残念ですが、「Just Married」の文字を背負い、缶(?)を引っ張って「愛の逃避行」に出かけるデルタフライヤー。おめでとう!お2人サン。ラブラブぶりをしばらく楽しめそうです。

 2人を結びつけた新型デルタフライヤー。だからトムは前回ボーグキューブに行く艦長について行ったのね〜。これを壊されちゃ困りますよね(^_-)。


REPRESSION:狙われたマキ

★見事その方法でウチの戦略士官を勧誘したわけね

 プロローグの男を見てベイジョー人だと判るとは、深みにはまったなぁ(笑)。今回は最近めっきり影が薄いトゥヴォックがお当番。彼が探偵役のエピソードは何度かありましたね。元マキのクルーが続けて襲撃され、調査を始めた保安主任が、実は犯人だと早い時間に判りましたが、そこから元マキのクルーによるヴォイジャー乗っ取りに展開。でもねぇ・・・。

 好きで見ているヴォイジャーだし、科学技術には疎いので細部には拘りません。ツッコミ所が満載のエピでも艦長の見所があればOKな艦長マニアな私です。でも、強くてお美しい艦長を見られましたが、このエピはなんだかしっくりこない感じです。そもそも今さらマキが反乱を起こしてどうなるの?。孤立無援で、いまだに3万光年も故郷から離れている艦を一隻ぶんどって、彼らは何をしたいのか。反乱を起こさせたティーロの目的が、まず判らない。

 過去に施された洗脳(?)を呼び起こされたトゥヴォックが、元マキのクルーに精神融合することで預言を植付けるのは凝ったやり方です。マインドコントロールの度合いが人によって違うのが気になりましたが。トゥヴォックはコントロール時と正常時を行ったり来たり。ベラナは新婚でアツアツのトムのことを冷たくパリスと呼び、抵抗を力で封じるほど強い洗脳。

 副長は過去の記憶はあるようですが、艦長を敵とみなしている。彼女をジェインウェイと呼ばず、キャスリンと呼んでるのがナゾといえばナゾ。拘束室へ連れて行く際、フェイザーで脅したり力ずくでもなく、並んで歩く余裕ぶりですから、自分が優位にいると言いたいのでしょうか。もっとも力では艦長に勝ち目はないですけど。

 ティーロの幻影に惑わされ、ヴァルカンらしさを失い感情むき出しのトゥヴォックを助けようと、あの状況で拘束室に入る艦長。混乱しながも艦長の声に必死で答えるトゥヴォック。さすがの艦長も修羅場でテンパってたのか、チャコティの異変を見過ごしましたね。いつもの彼女ならとりあえずトゥヴォックを置いといて、一番に艦の状況を確認したはずです。

 ヴォイジャーとは何の関係もない男に、目的も意義もない反乱を起こすようコントロールされたトゥヴォックとマキのクルーも被害者ですが、一番の被害者は艦長ですね。呉越同舟で旅を始めざるを得なかった艦長が、艦をまとめるために敢えて信頼するトゥヴォックではなく、敵とも言えるチャコティを副長にしたのが6年前。しかし程なく2人の間には信頼が芽生え、今では「この艦で一番信頼している」と艦長が言うまでになりました。

 なのに拘束室に入れられたあげくに殺されかけた。それもよりによってトゥヴォックに殺させるなんて。誰も傷つけないと言う彼のポリシーのためか、本気ではなかったようですが、フェイザーを向けられ絶体絶命の艦長に、別人になったチャコティの穏健主義など判ろうはずはない。再び拘束室に戻される艦長の、うつむき加減の後ろ姿がなんとも言えず悲しい。

 DS9で描かれたマキがどんなのものかは知りませんが、ヴォイジャーを見る限り彼らは連邦の秩序とは相容れないテロリストでしかないのですね。少なくとも艦長は自分に反する者を手近な惑星に置き去りにはしない。人の命で忠誠心を試したりしない。

 再度の精神融合で元に戻った副長が、拘束室に艦長を迎えに行った時の彼女の固い表情が、言葉には決して出さない心の痛手を雄弁に語っていると思います。トゥヴォックには笑顔を見せましたからね。洗脳されたうえでの行動だと判っていても、一度は連邦と敵対する立場にいた副長に反乱を起こされ、これまで通り信頼できるか。20年来の仲であるトゥヴォックと同じように信頼していいものか。心が揺れないはずはない。

 トム&ベラナのように夫婦なら、痴話げんかの一つもすれば元のサヤに治まるのは簡単でしょう。ひどい目に合ったのは大らかなトムの方だし。でも夫婦でも恋人でもない艦長と副長の関係回復は、しばらく時間がかかりそうです。ラストの映画館で、艦長を見ないように離れて座った副長のコソコソ具合に、反省してるらしいしおらしさか伺えるので、2人のイチャイチャぶりは今後も見られそうですけどね。

 公式にJ/Cは否定されてますが、それを持ち出さなくても、この話しや第3シーズンの「ボーグ・キューブ」などを見ていると、艦長が副長との間に越えない一線を引いている理由が何となく判るような気がします。それにしてもラストシーズンになって、すかっり忘れられたような設定を持ってきて、クルーを対立させる話しを書かなくてもいいのに・・・。


CRITICAL CARE:正義のドクター・スピリット

★ヒポクラテスの誓いはプログラムされてるんでね 

 見知らぬ星で起動したドクター。そこは社会に対する貢献度でランク付けされた人々が、ランクに応じた治療しか受けられない世界。ヴォイジャーではいつも最善の技術や薬剤を使って治療する彼には、とうてい受け入れられるものではありません。

 薬を得るためにあの手この手を使い、人を丸めこむドクター。艦長のやり方に似ているような?。ここで彼が下層の患者にしたことは、人道的に正当でしょうし、それが「医の倫理」です。艦長がやったら「艦隊の誓い」を破ってるとグチグチいわれるでしょうが(苦笑)。元々ドクターは「艦隊の誓い」より「ヒポクラテスの誓い」を優先する人ですから、自分の行為が内政干渉だというのに頓着はないと思いますけど。

 ただ、行政官を病気にしたのは問題ですよね。おかげで薬は手に入りましたが、その場しのぎでしかないような気がします。行政官が根本的に考え方を変えなければ、2人の善意の医師の将来が危うくなるだけかもしれない。医師はもちろん、患者も現行の制度に不満がなさそうですから。もちろん医者の手で病気にするというのも、苦肉の策とはいえ道義的に問題がないわけではない。彼もそこには引っ掛かったから、機能不全だと思いたかったのでしょう。

 ホログラムに感情が当り前のようにあること、彼の思考や行動のどこまでがプログラムされたものなのなのか。ドクターを見ているとよく考えてしまいます。余りに人間臭い表情しますからね。クルーの中で一番の俗物だし(苦笑)。彼は人間同様の権利を求めていますが、ホログラムであることの限界を、こういうことがある度に思い知るんでしょうね。

 ドク・エピではお笑い担当は彼の方なのですが、今回は彼を探すヴォイジャーが・・・というより艦長とトゥヴォックがいい味出してました。詐欺師で泥棒のガーに出し抜かれた保安主任、艦長からキツ〜いお叱りを受けて(苦笑)。わずかな手がかりからたどった異星人とコンタクト。初めはマジメに話してる艦長が、奥さんに逃げられた太っちょの異星人と交信したあたりから、「いい加減にしてよ」って感じの投げやりな態度になるのが笑えます。頬杖ついて異星人と交信するなんて、普段の艦長では考えられません。

 その逃げた奥さん、言いたい放題言ったあげくガーと艦長の仲を邪推。目をパチクリさせながらそれに答える艦長、何を思ったのかトゥヴォックの手を取り「間に合ってるの」ですって(爆)。ブリッジにいた全員が「えっ!艦長!?」とツッコミ視線になるのに大笑い。ホント、私もツッコミましたよ。なんでトゥヴォックなの?。副長はどうしてブリッジにいないの!。

 ようやく捕らえたガーを脅すトゥヴォックもツボです。艦長のお叱りがこたえてるの?。ニーリックスに言いくるめられたり、今日のトゥヴォックはちょっとトホホ。前回に続いて怒りモードの艦長、ドクター救出を命じるのに、名前を呼んで顔をわずかに動かすだけで、副長がすぐに席を立ったのも姐さんぽくてステキ。本筋よりこんなところで笑ってる私の艦長マニアぶりも相当だわ。


INSIDE MAN:幻の帰還計画

★ママのアップルパイが食べたいよ

 「遥か彼方からの声」はすご〜く良かったのに、バークレー&トロイ+艦隊本部が出てきても、このエピはなんだかイヤです。大容量のホログラムを送信するなら、普通は事前に予告するでしょう?。先に容量の小さいものでテストするとか、少なくともヴォイジャーが、ホログリッドの連結器をふっ飛ばさなくてすむように考えてしかるべきでは?。

 バークレーが出てくると、ヴォイジャーが映らないのはまだガマンします。でもわずかに出てくるクルーが、いつもの彼ららしくない。艦隊からの通信(ホロ・バークレー)がいくら安全だと言っても、人体が溶けてしまうような放射線障害のリスクがゼロではないのに、誰も真剣に検討しない。副長やトゥヴォックなら真っ先に止めそうなものなのに何も言わないし。

 艦長にしても、ドーントレスの時や、1時間ごとにクルーが消えた時のような冴えが全くない。ホロ・バークレーに感じたドクターの違和感も、なかなか信じなかったり。これまでの艦長なら考えられないことの連続。なによりも当事者であるヴォイジャーが、最後まで何も知らされないままに終わってしまって、これじゃ締まらなさすぎ。

 これ以上書いても文句ばかりになりそうなので、ここらで止めますが、レッジの右往左往ぶりは、もうお腹一杯。毎回都合良くトロイが助けてくれるのもねぇ。今回の彼女はこれまでで一番良かったけど。さすがピカード艦長が全幅の信頼を置くカウンセラー。でもこのエピ、見所はトロイのダイナマイトバディだけかも。確かにいいもの拝まして頂きました(笑)。あとはバークレーの物まねかな。あそこは大笑いしました。原語だと最後まで艦長の声なので、バークレーの顔に艦長の声で「やって!」というのが爆笑モノです。何とゆーか、こんなお茶目な機能を付けるから、容量が増大するのでは?。

 相変わらず地球にそれほど思い入れがなさそうなトムとベラナ。新婚サンで2人が一緒にいられたら、ヴォイジャーも天国なのかもしれないけど、ママが恋しくて帰りたくてたまらないハリーにキツいジョークだなぁ。トムやベラナのシニカルなユーモアのセンスは好きですが、今回はそこのところも外してるような気がしました。


BODY AND SOUL:セブンになったドクター

★余計なものが人生を豊かにするんだ!

 ヴォイジャーきっての人気キャラを融合させたら?。または楽屋落ちのモノマネで遊んでみよう・・・がキッカケだったりして。なかなか面白かったです。余り深く考えないで楽しめるエピの方が、ヴォイジャーには向いているのかもしれません。

 なんと言っても見ものはセブン。ドクターが乗り移ると表情が豊かになるし、それがしっかりドクターと同じ。ヴァルカンと違って感情はあるから笑いますが、普段のセブンは劇的に表情を変えませんからね。それでいくと、ホログラムのドクターは感情過多かと思うくらい。それだけ強く人間に憧れているにしても、彼の「欲望」には限りがなさ過ぎ(苦笑)。そりゃセブンも怒りますって。相変わらず惚れっぽいし。

 これって一風変わった恋愛モノなんでしょうか?。見た目が美人のセブンで、中身は下世話で俗物なドクターだから、ラネク艦長がその気になるのも無理ないです(笑)。逆に魅力的な女性大尉の恋愛の対象にはならない。兄を紹介すると言われて、露骨にイヤそうな顔になるのは笑ったけど。それとドクターの正体がばれてからの、バツの悪そうなラネク氏も。

 今回も艦長の出番は少なかったけど、カーク船長も真っ青のハッタリかましてくれました。もしかして本気だった?。「威嚇」ウンヌンはジョークでしょうが、好戦的と言うか、珍しくヴォイジャーの方が優位に立ってたから、久しぶりに女王様でしたね。

 捕まったハリー、拘束室に1人で残されてなんだかなぁ。まあ、怒るセブンをなだめたり、脱出の方法を冷静に考えて指示したりと、上級士官らしさはそこはかとなくあったかな。死人を甦らせたり、インプラントにドクターをダウンロードできたり、何でも有りの便利なボーグテクノロジーも、サブルーチンを加えれば大抵のことができるドクターも、それだけでは危機を乗り越えられない。だから人間のほうが優秀ってわけじゃないけど、この2人がいると人間のクルーのカゲが薄くなるばかりだし(苦笑)。

 トゥヴォックのポン・ファー。ヴァルカン人も大変だー。恋愛描写には事欠かないトムに、さかってるなんて言われて。まあ既婚者同士、分かり合えるところがあるようですが。さり気なく(でもないか・・・)気遣う艦長、優しくていいんだけど、ポン・ファー中のトゥヴォックを触りまくるのはマズイのでは?。ニーリックスが持ってきたドンブリ入りのスープを見て、なぜか笑いをこらえる艦長。なんで笑うの〜?何が入ってたの〜?。


NIGHTINGALE:偽りのナイチンゲール

★ジェインウェイ艦長はいつだって自分の食べたいものをはっきり注文する

 地上波で再放送を見ているので、ネタバレ邦題に目くじらは立てませんが、「偽りの」はさすがにやめてよって感じです。第7シーズンで唯一のハリーお当番エピソードらしいのに、ここまで来てもハリーは不幸ですね。もっとも本当に不幸なのは、アルファ宇宙域にいたらとうに昇進しているはずなのに、万年少尉に甘んじなければならないこと。人員の新陳代謝がないヴォイジャーでは仕方ないけど。

 ハリーもそれは不満で、夜中の「艦長ごっこ」でウサ晴らししても、彼が他のクルーとミッションに出れば指揮権はもてないわけで、すごく優秀なだけに今回のような「艦長任務」は、たとえ一時的に異星人から任されたものでも彼にとっては大きなチャンス。ただし、彼らの争いに介入するのも優柔不断っぽい。本人も言ってたけど、決断は苦手かな。

 頑固者揃いのヴォイジャーの中では、彼は良識的で模範生。だから艦長も彼にはトムたちとは違った接し方をしてる感じ。もちろん半人前扱いはしませんが、母の目線で見てますね。会議室でのやり取りの末に任務を許可した時も、艦長はセブンを見守る時に見せる、全てを包み込むような暖かい表情でした。こんな笑顔を艦隊士官に見せたのは初めてでは?。

 とはいえ、張り切って空回りするハリーはまだまだお坊ちゃま。人間性開発の手助けをしていたセブンに何度も説教されて(苦笑)。初めての単独艦長任務で、自分の指示で部下を死なせたのですから、動揺するのも無理ないですけどね。自分を助けてくれた人がそのために死んだのに、全く平静でいるセブンのほうが、私には違和感があります。いいこと言ってますが、セブン本人は意外と役に立ってないし。

 一度首を突っ込んでしまった揉め事に、最後まで責任を持って対処したハリー。初任務は成功だったと思いますが、自信満々で挑んだのに、相手に裏切られたとは言え、未熟さを思い知らされ意気消沈。まあ次はきっと上手く行きます。艦長だって最初の任務は上手く行かなかったそうですから。ヴォイジャーに戻ってから、艦長とハリーの会話がありませんでした。傷心の「末っ子」に艦長が何と声をかけたか、とても気になります。

 Bプロット(?)のイチェブとベラナ。あれは何?。イチェブのマジボケ勘違いクンぶりを笑えばいいのかな?。確かに笑ったけど(笑)。10代の子供にあらぬ誤解を受けて怒らなかったベラナ、人妻の余裕と言うか大人だわ。でもね、新婚のトム&ベラナ、なんだか既に倦怠期みたい。やっぱ春が長すぎたのかも。


FLESH AND BLOOD:裏切られたホログラム革命 パート1

★2人そろって私に文句でもありそうね

 第4シーズン「史上最大の殺戮ゲーム」で、ヴォイジャーをボロボロにしたヒロージェンが再登場。苦肉の妥協策で彼らに渡したホログラム技術。それをしっかり悪用してたのね。さすがはデルタ宇宙域でケイゾンと1、2を争うバカちん(苦笑)。ファンの人がいたらごめんなさいね、でもキライなんです。どっちも。彼らと関わると毎回愛しの艦長が批判されるから。

 とはいえ、たとえボーグでもSOSには答えるヴォイジャー、ヒロージェンの救難信号にもきっちり答えます。助かったのはホログラム技術者1人。彼は巨人揃いのヒロージェンの中ではかなり小柄で、ハンターとしてはオチコボレ。でもハンターの望む通りにホログラムを改良し、結果的には悪用ですがあそこまで進化させたのですから、技術者としては一流ですね。それに、気は小さくても人間が共感できる部分を持っている。ヒロージェンも狩りの本能のままに生きる人たちばかりじゃないってことでしょうか。

 ヴォイジャーでは、狩りしか頭にないヒロージェンたちと渡り合う艦長が、何というかひたすら女王様。強気で高飛車で強引で、アンチに批判のタネを自ら差し出すような、マニアは逆にハラハラするような、言ってることは妥当なんですけど、物には言いようってあるでしょみたいな(苦笑)。艦長に進言するのに1人では行けなくてトゥヴォックを連れて行き、先に話させる腰の引けた副長に、作戦室のソファにふんぞり返って応じる艦長(爆)。

 このエピに限らず原語で聞くと、ケイトさんは女王様発言をするときでも、余り強くは言ってないんですよね。どちらかと言えばボソボソと。吹き替えの方が強い口調です。まあ、どちらを聞いてもオッカナイことには違いないですが。

 狩られるホログラムに誘拐されたドクター。非道なヒロージェンが改悪したプログラム、それがもたらす救いのない苦しみを訴えるベイジョー人にほだされた彼は、すっかり彼らに丸めこまれて(苦笑)。確かにベイジョー人の言い分は判るのですが、プロローグで容赦ない殺戮を見ているだけに、胡散臭さを感じてしまいます。艦隊士官が水の中から現れて、フェイザーを撃ちまくるシーンはかなり怖いです。

 ハンターからホログラムを守るには、彼らを停止させて安全圏まで避難してから起動する。初対面のヴォイジャーを、まして憎むべき有機体だから、ホログラムたちが信じないのは当然ですが、ホログラムに同情するドクターも納得しません。艦長が言う通り、最も妥当な選択だと思うんですけどね。毅然と決断する艦長、さすがです。

 機関部ではヒロージェンの技術者と協力してホログラムを止めるべく行動開始。ドクターはそのデータを持ってヴォイジャーから脱走。気持ちは判らなくもない、でもなんと言うか、結局はドクターも艦長を信じなかったわけで、それもなんだかなぁ。そもそもドクターは医者でしょ。ホログラムの世界に行って何をするの?。自分で言ったじゃない、「私は医者だ、エンジニアじゃない」って。

 ヴォイジャーでの生活を捨てる覚悟をした、真剣な表情のドクター。後ろのほうのエピを見てるので彼が戻るのは知ってますから、後編でどんな悲劇が彼を待っているのか、シリアスなエピだけに心配です。


FLESH AND BLOOD:裏切られたホログラム革命 パート2

★栄光は戦士のものだけど、社会を作るのは技術者よ

 日本では前・後編に分れていますが、本国では同じ日に続けて放送されたので、原題にパートの表示はありません。DVDでも切れ目なく続いていました。後編はドクターがヴォイジャーを脱走し、ホログラムたちに周波数を教えたところから。

 ホログラム装置を修理するために誘拐されたベラナは、アルファ宇宙域の同窓会状態の艦内で、恨みつらみのあるカーデシア人と再会し、まずは怒りたおしてます。荒ぶるクリンゴン、でもドクターより状況は見てますが。アルファ宇宙域では非道なカーデシア人が、ホログラムの中では最も良識的で、最後は2人の協力で危機を乗り越えたのは、ベラナにとっては皮肉でしたね。でも彼女も過去の憎しみに囚われないで、種族で括らず人を見られるようになった。こういうベラナは好きです。めっきり見られなくなった、技術屋らしい活躍が見られたもの良かった。

 ネタバレ邦題から、裏切ったのはヴォイジャーの厚意を悪用したヒロージェンだと思っていたら、ホログラムの方だったのですね。前編でリーダーのハンサムなベイジョー人が信心深いところを強調しておいて、後編では自分が信仰の対象になろうと変貌していくのが怖い。信仰にはまり、自分を見失って暴走する狂信者みたい。

 虐げられていた人たちが知恵と力を身につけ、加害者を攻撃できるほどになったら、彼らに何をしてもいいのか?。ホログラムたちはヒロージェンに狩りを仕掛けましたが、もしあのまま狩りを続ければ、結局はヒロージェンと同じじゃないですか。だからと言って泣き寝入りしろとは言えないけど。理不尽な目に合ったのは確かだし。「己の欲せざることを人に施すことなかれ」は日本人(東洋人?)のメンタリティで、アメリカ人はまず復讐を考えるのでしょうか。艦長にもそういった面は少なからずあるから。

 ホログラムとは思えないドクターの苦悩の表情は切ないんだけど、なんとなくこのエピがしっくり来ないのは、狩られるホログラムの苦しみが、肝心のヒロージェンには全く伝わってないから。どうせ聞く耳持たないバカちん(また言ってしまった)だけど、彼らの怒りの意味を知り、助けようとしたのにボロボロにされたヴォイジャーが貧乏クジ引いたみたいで気の毒。

 で、問題のドクター。どうして彼はヴォイジャーの仲間より、行きずりに知り合った人を信じ、すぐに仲間だと思うのかな。「心に響く歌」でもそうでした。自分の思うとおりにならないと、ホログラムだから差別されてると彼は思うようですが、ヴォイジャーという限られた世界の中では、誰だってやりたいことだけできるわけないでしょう。人間同様にというなら「足るを知る」も、人間並みにしてもらいたいものです。今回の彼の裏切りは、ヴォイジャーに甚大な被害を与えたわけですから。

 医療室へ戻ったドクター、しおしおと罰を受けようとする彼に、意外にも艦長は怒りを見せません。人間は過ちを犯すもの。大切なのはそれから学ぶこと。自分の行動と、それがもたらす結果に責任を持つこと。これは最後に残ったカーデシア人のホログラムと、ヒロージェンの技術者にも言ってましたね。今回のそもそもの発端は、艦長がヒロージェンにホログラム技術を与えたこと。だから艦長は、攻撃や脅しにも怯むことなく最善を尽くそうとしたわけです。前編の女王様過ぎる発言の数々も、後編で過去の過ち(と言いたくはないですが)に、真摯に向き合う姿を際立たせるため・・・かな?。

 ヴォイジャーで起きることや、クルーの行動に伴う結果、その責任の全てを背負っている艦長。タマネギ頭のころは明るい笑顔を見せていた彼女が、今では別人かと思うほど険しさを増したのも重責と重圧、そして罪悪感のため。それを思うと、自分の責任を簡単に投げ出せるドクターの甘チャンぶりが、これまでのエピ以上に嘆かわしい。人間並みの権利を求めるなら、相応の義務と責任も負わなければならないと言ってるのよ、艦長は。判った?ドクター。

 最後に、吹き替えではセリフの後半しか訳されませんでしたが、原語+字幕にあった艦長しか言えないセリフをご紹介。ホログラム艦を追うなら、敵として攻撃するとヒロージェンに脅され、でも拉致された愛妻を取り戻したいトムが「脅しには屈しませんよね」と言ったのに答えていわく。

 「私を誰だと思ってるの」・・・あぁ、あなたって人は(核爆)。


SHATTERD:対決する時空

★未来で待ってるわ

 ヴォイジャーの7年間の旅をずっと見守ってきたファンに、懐かしい顔と再会できるご褒美のようなエピソードですね。そしてJ/Cファンにとっても「霊界からの誘い」以来の、艦長&副長ラブラブエピ(笑)。重力波で37の時間軸に分裂したヴォイジャーを元に戻すため副長が大活躍。彼を現在の時間軸から時空移動できるようにし、艦長はディープ・スペース9を発進して間がなく、艦の遭難を知らない時間軸に置いたのは、これ以上ないNICEな設定です。

 最新鋭艦を与えられての初めての艦長任務で、希望にあふれ明るい艦長。原罪の意識や、重責に締め付けられてない艦長を見るのは何シーズンぶりでしょう。とは言え気の強さは不変です。追いかけているマキのテロリスト(副長)が、目の前に現れた時のバリバリの艦隊士官流の対応といい、彼に羽交い絞めにされてもひるまない強さといい、艦長はどんな時も艦長らしい。細かいことを言えば、艦長の時間軸では副長は存命のハズ。なのに未来の副長はチャコティだということの意味に、艦長が気付かないのが少々ヘン。イヤミな副長(名前も覚えてない)だったからどーでもいいけど(笑)。

 一応事態を把握したタマネギ頭の艦長は、副長に協力して時間分裂した艦内を移動。天体測定ラボに行けば、副長も知らない17年後のイチェブとナオミがいます。艦長はまだ2人を知らないのに、彼らに向ける視線が暖かい。大人になったナオミが、艦長に対する尊敬を変わらず持ち続けているのにホロリ(泣)。ホロデッキではキャプテン・プロトン。悪の砦は壊されたのか、狭い研究室に手下は1人(笑)。余りの悪趣味さに呆れる艦長に、「アラクニア」のお芝居をウインクして勧める副長がお茶目。かなり嫌々でしたが、しっかり女王様してましたね。

 貨物室はボーグと同盟を結んだ頃で、セブンがドローンのまま。食虫植物や夢の世界、巨大ウイルスに襲われたり、艦長は少しずつ待ち受けている運命と、ヴォイジャーがたどる尋常ならざる旅の軌跡を知っていきます。転送室は2話ラスト前?マキ姿のベラナやアイヤラがいて、ついに艦長はヴォイジャーの遭難と、それが自分の決断によるものだと知ってしまいます。

 未来を知り、変えようとする艦長。アレイ破壊の決断は、いつでもどこでも彼女を押しつぶす、圧倒的な重さで圧しかかってくるのが辛いです。デルタ宇宙域に飛ばされたのは艦長の責任ではないし、そこで投げ出されて自力で帰るしかなかったというのなら、彼女の苦しみはかなり軽減されていたでしょう。副長が言う通り、艦長の決断は間違いではないと思います。しかしまだ体験してない過去の艦長が受け入れられないというくらいですから、マキのメンバーもまとめて帰還の旅を始めた頃の苦労が、改めてしのばれます。

 旅の全てを知っている副長は、随所で辛いだけの旅ではないと艦長に熱く語ります。こういう話をさせたら副長の右に出る人はいません。素直じゃない艦長は「7年間ずっとお説教されるのかしら」なんて言いますが、「私の言うことなど聞きゃしません」と答えなかった副長、立派です。それはともかく、最後はケイゾンに乗っ取られた時期の機関室を、時間と立場を越えたクルーが一致団結して奪還。みんな艦長の言葉を信じたのですね。艦内の時間軸が一つになる前にクルーの心が一つになる。それは今のヴォイジャーの姿。

 はにかみながら「2人の関係はどこまで進むの?」と訊いた艦長。この時期はマーク一筋では?(笑)。艦長の時間軸では副長はまだテロリストの首領。その彼の言葉の端々に、未来ではヴォイジャーを守り、いつも自分を支えてくれていると感じたのでしょう。「越えていない壁」が何を指すかなんてヤボな詮索はしませんが、敵同士として出会った2人が信頼しあう間柄になったのは、2人の間で培われたのは友情だけではなかったのだろうと思います。

 現在の時間軸では恒例のディナー。勝手知ったる艦長の部屋でタメ口きいてる副長に、レプリケーターを壊して座り込んで修理する艦長。料理は完成品を出すか、副長に任せたほうがいいです。とっておきのリンゴ酒で乾杯するお2人サン。ほんとにいい雰囲気。エピの中でタマネギ頭の艦長に、何度か子供の頃のこととか、艦長だけが知るあれやこれやを副長は言ってました。それはこのシーンのように、2人で過ごした時に艦長が語っていたわけで、思い出話ができるゆったりした時間が艦長にもあったことが嬉しいです。


LINEAGE:母となるものの孤独

★ああ、なんて可愛いんでしょう!

 新婚早々にオメデタのトム&ベラナ。そう言えばDVDで先に見た「クアラ」では、ベラナのお腹が大きかったわ。しばらくは2人だけの秘密にしようとしたのに、ヴォイジャーの情報伝達速度はトランスワープ並み(苦笑)。最初に伝えたのは、他人のことには関心がなさそうなイチェブとセブン。まあイチェブはともかく、セブンはすっかりヴォイジャー一家の一員になったんだなぁと、ベビー誕生の吉報とともに嬉しい。

 仲間の暖かい祝福とお節介に、まだピンと来ないトムと、やたら突っかかるベラナ。艦長は何もベラナを仕事から外すなんて言ってませんって。先に出産したワイルドマン少尉だって、陣痛が起きるまで普通に仕事をしてたんだから(笑)。

 荒れるベラナ、その根源はやはり身体に流れるクリンゴンの血。第6シーズンの「さまよえるクリンゴンの魂」で、彼女とクリンゴン人の母との確執が昇華され、クリンゴン・コンプレックスから脱却したのだと思っていたら、地球人の父とのわだかまりがまだ残っていた。自分の一言で大好きなパパが家を出て行ってしまった。少女時代の心の痛手と罪の意識、おそらく母にも言えなかった苦しみが、自分の血を受け継いだ「娘」を見たときに、押さえがたく爆発してしまったのでしょうね。

 クリンゴンの世界を受け入れられない。でも彼女がなりたい地球人からは異端視される。ベラナの回想に出てきたイトコたちのイタズラから、クリンゴンだから排斥するといった悪意は感じられないけど、コンプレックスがあるから自分から仲間に入れず、過剰に反応してしまう彼女の気持ちはよく判ります。トムだってもちろん。

 7年に渡って何度も繰り返されたベラナの葛藤は、結局「クリンゴンである自分を、いつまでも変わらず愛してくれる人はいないのではないか」というところに集約するわけです。結婚し子供が生まれる。とても幸せだけど、長くは続かないのではないか。父がクリンゴンの母と自分を捨てたように、トムもいずれは去ってしまうのでは・・・。

 誰にも言えなかった心の内を、とうとう全て吐き出したベラナ。トムはしっかり受け止めてくれました。恋人より遊び優先の困ったクンなところもありますが、ベラナに対する態度は「消えた村の謎」での紳士ぶりを持ち出すまでもなく、ずっと変わりなく真剣で誠実です。今回のエピはベラナがクリンゴン・コンプレックスから抜け出し、大きく成長する姿を描いたのでしょうが、トムも彼女に負けないくらい成長したなと感じられる話しでした。

 艦長の出番はほとんどなかったけど、葛藤を乗り越え、再び「娘」と対面したベラナの心からの笑顔と、名付け親になって欲しいと言われ、感激で声が出ないドクターの笑顔が最高にステキだったのに免じて許してあげよう。とにかくおめでとうベラナ。


REPENTANCE:宿命の殺人星人

★まっすぐ俺の目を見たのはあんただけだ。それを覚えていたい

 異星人の救難信号に応じたヴォイジャー。助けてみればそれは死刑囚を母星へ護送する艦だった。図らずも死刑の手助けをすることになり、気乗りしない表情の副長。艦長も同じ思いでしょうが、「艦隊の誓いは絶対よ」ですか。ここでツッコミ入れた人は多いでしょ(苦笑)。ドクターが最初に艦長の判断を批判するから、死刑制度と生命を守ろうとする彼の葛藤が今回のテーマかと思えば、アイコの、ひいてはセブンの罪と贖いを問うエピソードだったのですね。

 凶暴で、罪の意識などカケラもない殺人犯のアイコ。しかし彼の凶暴性は先天的な脳の伝達異常からくるもので、偶然ナノプローブを使った外傷治療でそれが改善されると、罪悪感をはじめ善なる資質が芽生えてきた。落ち着きを取り戻し、自分の犯した罪と真剣に向き合い、奪った生命に対し自らの生命を持って贖うというアイコに、セブンもまた自らが奪ったたくさんの生命(実際は殺したのではないけど)の重さと向き合います。

 制御できない殺人衝動かもしれないけど、自分の意志で人を殺したアイコと、ボーグ時代のセブンが行った同化を同列に扱うべきではないでしょう。でも彼女にとっては同じことなんですね。艦長によって人間に戻され、やり直すチャンスを得たセブンには、贖罪のため従容と死に赴くアイコが、自分のもう一つの姿に見えるのだと思います。今は仲間に受け入れられ、艦の役に立つことに存在意義を見つけた。しかし、だからと言ってかつての罪を償ってはいないし、まして許されたわけではない。

 アイコの力になろうと懸命なセブンに見え隠れする罪悪感を、艦長は敏感に察しています。艦長もクルーを7万光年の彼方に放り出した「原罪」を常に忘れないでいる人ですからね。残り3万光年を無事故でさっさと終わらせたとしても、これまでに失われた生命がある以上、旅の終わりが罪からの解放にはならない。

 艦長は「ボーグ集合体の罪で自分を責めるのはおやめなさい」と言いました。これはセブンへの慰めであり救いの言葉ですが、「原罪」を背負い続ける心の痛みを知っているからこそ言える言葉だと思います。あとヴォイジャーでこのセリフが言えるのは、ニーリックスくらいかなぁ。今回の彼はコロリと騙されてましたが、彼はこんな単純な善人ではないと思います。

 一旦は開いた再審の道も閉ざされ、アイコは母星に戻り生を終える代わりに永遠の安らぎを得ました。ではセブンは?。前回のベラナのように泣いて誰かにぶつけるというのも、受け止めてくれる人がいるなら、乗り越える術の一つになるかもしれませんが、セブンにはできませんものね。支えてくれる艦長が彼女にはいるにしても。

 見ていてとにかく悲しかった。持って生まれた運命のために破滅するしかなかったアイコ。人生を切り取られ、生涯消えない苦しみを負わされたセブン。アイコが手にかけた若い男の人の無意味な死。そしてアイコの懺悔を受けても癒されない遺族の心。どれもが悲しくて悲しくて・・・。だから「20年の人生をボーグに奪われた。罰はそれで充分だわ」という艦長の言葉が深く心に染みました。

 それにしても最近のヴォイジャーはお当番以外の人は殆ど活躍しませんね。前回出ずっぱりのトムとベラナはご飯の催促しただけだし。セブンの心の内側に踏み込めるのは艦長だけかもしれませんが、副長ももう少し艦長のフォローをしてくれてもいいのに(苦笑)。無言で艦長の信頼に応え続けたトゥヴォックが、とても頼もしく見えました。


PROPHECY:預言の子

★俺が恐れるクリンゴンはダブルシフトを終えた妻だけだ

 故郷まで3万光年のデルタ宇宙域で出会った懐かしい宇宙艦はクリンゴン。それもかなり年代モノ。難なく遮蔽を破って対面してみると、彼らは100年以上前から4世代かけて「預言書」を頼りに旅をしているそうです。なんと言うか大集合したクリンゴンは壮観でした。

 ボーグも怖いけど出会う確率は低そうです。でもクリンゴンは「すぐそばにいる乱暴者」というリアルな怖さを感じてしまいます。ベラナが嫌うのも無理はないような(苦笑)。ハリーを追っかける女クリンゴンなんかを見てると、ベラナが少しくらいブチ切れていてもかわいいものです。そんな女丈夫(?)とよろしくやってしまったニーリックス、見かけに寄らずタフなのね(爆)。

 とは言え、このエピで一番驚いたのは、ブリッジに現れたクリンゴンたちと対決した艦長のアクションです!。バトラフとフェイザーの違いはありますが、トムの及び腰の決闘シーンとは比べ物にならないほど素早い身のこなしにビックリ。正確な射撃の腕といい、久しぶりに武闘派艦長を見られて満足です。それに引きかえ副長はねぇ・・・。


THE VOID:略奪空間の怪人達

★私の過ちはあなたを同盟にいれたことだけよ

 ジェインウェイ艦長は本当はこういう人なのよ!!!と、ビックリマークを3個くらい付けたくなるようなエピでした。艦隊の理念と現実。確かにきれい事で空腹も燃料不足も解消しませんが、もし副長やトゥヴォックの言う通りにここで略奪に手を染めたら、生き延びることはできるかもしれません。でも生き残るために手段を選ばないなら、イクワノックスのランサム艦長とどこが違うのでしょう。これまでの苦しい旅で守り抜いてきた人間として大切なものを、最後まで守り通した艦長はやはりすごい人です。しつこいようですけど、本当に最近の副長は頼りないです。

 ・・・でもね艦長、一度だけドロボーしてませんか?第5シーズンで(爆)。


WORKFORCE PART1:人間改造惑星クアラ パート1

★こんなにくつろげたのは今までで初めてだわ

 バサバサの髪で、どことなく楽しそうな艦長。すごい勢いで降下するシースルーのリフトが怖い!。職場の監督が異星人顔したヴォイジャーのバクスター中尉だったので、これが「改造なのね」と思えば、ただ役者さんが別の役を演じてただけでした(苦笑)。それはともかく、ヴォイジャーよりいい仕事についた艦長、警報を鳴らしてしまい、機械に話しかけるなんてカワイすぎます。助けてくれた異星人のジャフェンにナンパされて、ちょっとその気に??。

 自分の名前と「仕事」に必要な知識のほかを無くし、地球の記憶もゆがめられてしまった艦長。些細な仕事でも満足し、愛する人と一緒に暮らす。クアラでの生活は、7万光年の彼方で遭難しなければ送っていたかもしれない、ありふれた日々のように思えるのですが、そうだとするとヴォイジャーの艦長であることが、彼女にとっては大きな負担なんですね。常に強気で前向きな艦長が時おり見せる脆さや危うさ。その秘めた部分がクアラで、より強調されているように感じます。

 艦長らしくない惚れっぽさも、洗脳+改造のためかもしれませんが、「艦隊プロトコル」を守る必要がない普通の女性ならありふれた感情の流れです。ジャフェンは見た目や雰囲気が元婚約者のマークに似てるから(故意か偶然か気になります)、警戒心や不安もなくすんなり心を開いたのでしょうか。自分の妻子だと知らなくても、ベラナと子供をいたわるトムもそうですが、心の奥のほうには今までの日常の残像が、わずかでもあるのかもしれません。

 「こんなにくつろげたのは初めて」と言いながら、艦長が触れたジャフェンの顔は、チャコティのタトゥのある左の額です。付かず離れず大人の関係を続ける副長に対する、艦長の気持ちの発露だといいなぁ。たとえ無意識でも。言葉は愛の囁きみたいですが、何か心に引っ掛かりがあるような、沈んだ表情で言ってますから。まあこのあとで艦長は、潜入した副長に「私たち一緒に暮らすの」と、ラブラブ同棲報告をして絶句させてますし、艦長の重圧が言わせた言葉かもしれません。

 どことなく頼りなげで別人のようになっても、相変わらず料理がダメダメな艦長。「私が作るわ」にやめたほうが・・・とツッコミ入れたのは私だけじゃないはず(爆)。いつもより生き生きと毎日の生活を楽しんでいるのが、艦長マニアとしては嬉しいような、悲しいような。髪型と服装、そして何よりくるくる変わる明るい表情が、本当のキャスリンはこんな人なのかもと思えて余計に。

 クアラに拉致されなかった3人はラッキー?、でも副長とミッションですからタダではすみません。胃の中で何かがバク転するような、トンデモ飲料を飲まされたハリー、ご愁傷様です(爆)。ドクターは赤服、階級章はなかったけどECHで、ハリーと主導権争いして、困った人ですね。4人でどうやってクルーを取り戻すのか、絶体絶命の副長のシーンで次回に続く。


WORKFORCE PART2:人間改造惑星クアラ パート2

★あなたを思い出すのに品物はいらない

 このエピソードを見ていると、「キャスリンの幸せ」は一体どこにあるのだろうかと思います。ヴォイジャーの艦長として充実した日々を送っていることは間違いありません。でも「原罪」の意識、クルーの生命を守り故郷に連れて帰る責任、背負った重責と重圧から片時も逃れられない、それが艦長の日常。じゃあキャスリンは、何からやすらぎを得るの?。

 暗いアパートで、別人のようなキャスリンを説得する副長。ヴォイジャーに戻し、本来の姿を取り戻すのが最善だと信じていても、心なしか辛そうですよね。「ヴィディア人の協力」で第二の地球に取り残された時、副長にキャスリンと呼ぶことを許しても、ヴォイジャーに追いつこうと薬の研究を続けた艦長が、嵐でそれがフイになってようやく「ただのキャスリン」になった。艦長という重荷を下ろしたキャスリンがどんな人なのか、2人だけで過ごした彼はよく知っています。もちろんクアラから連れ出すことが何を意味するかも。

 覚醒のきっかけを作ったトゥヴォックが拘束され、助けに来た副長まで改造されて活躍が中途半端だったのは可哀想でした。今回トゥヴォックにセリフあった?(苦笑)。チャンチャンコ着てるトムは活躍はしてないけど、改造されても人柄に変化はなかったような?。捜査官のイエリッドとセブン、艦長とジャフェンの2組に探索のバトンが渡り、艦長にはアクションまで。飛び降りるシーンはすごくカッコ良かった。

 ジャフェンと出会うきっかけになった、機械に話し掛ける艦長のお茶目なシーンが繰り返され、それが2人の別離のきっかけになったわけです。目の前から消えるキャスリンを捕まえようと伸ばして空を切った手を、じっと見つめたジャフェン。最後まで彼がいい人だったのが救いです。記憶操作されていない彼が艦長を助けたのは、彼女への愛情が全てですものね。

 元の記憶を取り戻し、艦隊の制服にいつもの内巻き艦長ヘアに戻れば、ジャフェンとの別れは避けられない。部下と交際しないという「艦隊プロトコル」が実在するのか知りませんが、結局は自分の幸せを優先しないということなのでしょう。ライトを落とした部屋の隅に立ち尽くす艦長。彼女を包み込む深い孤独の影が見えるようです。訪れたジャフェンと言葉を交わしながら、別れを納得しようとする艦長が切なすぎます(原語では最初から涙声です)。

 ジャフェンに恋する「キャスリン」の可愛さ、明るくて幸せそうな笑顔。これまで描かれなかった普通の日常を楽しむ生き生きした姿。艦長が失ったものの大きさに胸が痛みます。そしてそれを手にするのは、ヴォイジャーの旅を終えてからと、彼女が心に決めていることにも。こぼれた大粒の涙に込められた万感の思い。この別れのシーンは、見ていて不覚にも涙しそうになりました。

 ターボリフトを降りるときの躊躇い。「Captain on the Bridge」の言葉に迎えられ、ブリッジに足を踏み入れたら、自分は艦長でしかない。前を向いて艦長席に座った時には、いつもの艦長に戻っている。一言のセリフはなくても、彼女の心の動きはよく解ります。もちろんそれは副長も同じこと。それでも「見つけないほうがよかったのでは?」と問わずにいられなかったのは、艦長という鎧を脱いだ「キャスリン」を知る唯一の人であり、誰よりも鎧の重さを知っているからですね。迷いのない「いいえ」という答えを聞いて、副長が見せた安堵の笑顔。何があっても切れない2人の信頼関係。大人だなぁ。

 でもでも・・・静かな笑みを浮かべてコースセットを命じた艦長、本当に未練はないの?。後ろ髪を引かれる思いは?。ここがデルタ宇宙域でなければ、もう一度戻って来たいと思うでしょ。それでも前を見つめる艦長の強さが、私には言いようもなく悲しいです。以下、最終回にからむので遮蔽します。ジャフェンとの辛い別れ、ニーリックスの下艦、副長とセブンの恋愛、トゥヴォックの病気。ここからの艦長は、今までより遥かに孤独な日々を送ることになります。だから「禁断の箱」を手にした年老いたジェインウェイ提督が、過去をひっくり返したくなった気持ちが、わかるような気がします。まだ見てないし、事の善悪は別にしても。


HUMAN ERROR:人への歩み

★髪の手入れはどうしているのだ?

 J/C派の人たちのサイトを見ると、これは鬼門のようなエピソードだそうですね。このせいでセブン派と艦長派(だけではないですが)それぞれが掲示板で、今に至っても論争を続けているらしいです。私は艦長マニアですがJ/Cではないので・・・というより、副長に余り思い入れがないので、セブンが可愛そうだなと単純に思いました。

 プロローグのセブンのピアノ演奏。目の上のインプラントと手のパーツがないのも??でしたが、弾いている曲はショパンのようなのに(調べてみるとノクターン19番でした)、メトロノームを鳴らしているのが不思議と言うか、すごく違和感がありました。普通では考えられませんからね。本編を見ていくと、セブンの心の内側を象徴するものだったようで、メトロノームの使い方は暗示的で効果的だったと思います。

 セブンはボーグ時代を引きずるかのように完璧を目指している。その一方で人間性を取り戻そうとしている。最初の正確だけど全く感情の動きのないボーグのような演奏が、今のセブンの心なのだとしたら、人間として大切なものはまだ取り戻せてはいないのでしょうか。

 思い通りの自分になれ、誰からも受け入れられるホロプログラムにハマるセブンと、虚しいと知りつつ、束の間の恋に踏み込んでしまった「愛しのフェア・ヘブン」での艦長が、何となく重なってしまいました。どちらも普段の彼女達なら絶対にしないことだけに、そこまでに至ってしまったのが悲しいですね。艦長の場合は立場上逃れられない孤独の深さゆえであり、セブンにしても周りには理解されない「孤独」があるからです。ドクターの「君にも私生活があったとはね」という台詞が、それを端的に表しています。元ボーグとホログラム。人間から見れば異質な2人だからこそ分かり合え、他のクルー以上に連帯感を持っていたのに、そのドクターでさえもセブンの心の内を理解できないでいる。

 今までセブンは自分の心情をはっきり言わなかったから、周囲はそれを忖度しなかったのでしょう。それと野暮を承知で言えば、彼女のいわゆる「成長」や「人間性獲得」エピの大半で、大きく絡んでいたのは艦長とドクターだけだったのが、セブンを孤立させる大きな要因だったと思います。クリンゴンハーフのベラナなら、ドクター同様にセブンの疎外感を理解できるはずだし、唐突な副長との「ロマンス」より真実味があると思えるのに、これまでに2人の仲を深めるエピもシーンもなかった。

 セブンの乙女心(?)の揺らぎを「そうかもしれないね」と思いつつ、見ていて何となく落ち着かない気がしたのは、これでもか〜と言うくらいのお色気サービスのせいでしょうか(苦笑)。確かにすごくキレイでしたよね。クールなセブンとまるで違う、DVDの特典で見た素顔のジェリ・ライアンさんそのままの笑顔が素敵だったし、ナイスバディも拝ませていただきました。でも何と言うか、ハリーなんかと比べればお当番エピは多いけど、いまだにクルーに溶け込んでる様子とか、クルーから仲間扱いされている描写が少ないのは、順調に成長を遂げているとはいえないのでは?。

 「クアラ」では改造されなかった副長なのに(改造中の描写しかなかったはず)、ホロデッキで知らない間に人格をやたらナンパな男に変えられてしまったなんて、第7シーズンまで来ても彼は不幸ですね。


Q2:断絶するQ

★キャシー、君は天才だ!!

 第3シーズンの「レディQ」でしつこく艦長をくどいたQ。結局はクサレ縁のQと「歴史的生殖活動」ののち子供が誕生したわけですが、4年の月日を経て、これはその後日談。息子Q役のハンサム君は、パパQの実の息子さんです。

 どうしようもない悪ガキに育った息子Q。ベラナをくどき、セブンをヌードにし(全然動じない!)、ニーリックスの口にチャックしたりと、やりたい放題。ボーグを呼んだのはやりすぎですが、悪ガキぶりは意外に古典的。それにしても、あの親にしてこの子あり。パパQには因果応報でも、ヴォイジャーにとっては大迷惑。

 自らを全知全能と言い、地球人を遅れてると二言目にはバカにするQが、我が子をまともに育てられず艦長に丸投げするトホホさ。Qにとってピカード艦長とジェインウェイ艦長は特別なんでしょうが、独身の艦長をお母さん扱いしないでよ(苦笑)。あなたの子でしょ。

 息子Qと同じように優秀な父親にコンプレックスを持っているトムなら、いいアドバイスができたかも。もっとも人間の言うことなど聞く耳持たないQだから、行くところまで行ってしまうのは仕方ないですね。イチェブに瀕死の重傷を負わせて、「何でもできる」と「何をやってもいい」は違う、行動には責任が伴うのだと、ようやく気付いたわけです。

 パパQの行動を見てると、息子Qが言うことを聞かないのも解る気がしますけどね。模範たるべきパパQが艦長にいきなりちゅ〜したり、お風呂に侵入するんですから。どこかのサイトでQが艦長の足の裏にキスすると書いていて、どんな状況で?と不思議に思ってたのですが、見て納得と言うか、こーゆーことなのねと笑ってしまいました。Qモノの3つのエピを見てると、艦長は不本意でしょうが、Qが艦長に固執するのはよく解ります(笑)。Qのイタズラに対する時の艦長、あんな反応されたら、ちょっかい出すのは止められませんよ。

 パワーを戻された息子Qの、キザな贈り物に目を細める艦長。パパQからはほんのちょっぴり地球に近付けるお礼のギフト。さすがの艦長も「地球へ帰して」と、つい本音を言ってしまいましたが、まさかあのQから「努力」なんてセリフが飛び出すとは(爆)。笑顔を返した艦長はスゴイです。私なら思い切りツッコミ入れてます。


AUTHOR、AUTHOR:夢見るホログラム

★ママが艦長に頼んであげるわ

 ヴォイジャーも終盤にきて、総まとめの時期だと思うのですが、キャラクターの成長は足踏みしているように感じます。特にドクターは過去から全く学んでいない。キャラとしては面白いし、ピカード氏の演技は素晴らしいので楽しんで見るのですが、ホント〜に変わらなさすぎ。サブルーチンを増やし、機能を拡張するのはいいことです。人間同様の権利を求める気持ちも判ります。でもこれまで何度も痛い目に遭い、そのたびに助けてくれる艦長やクルーに対して、あんな程度の評価しかしていなかったのかと思うと、劇中で落胆と怒りを露にしたトム以上にがっかりしました。

 人間は色々なことを経験しながら成長します。しかしそれは楽しいことや、良いことばかりではありません。失敗や挫折を経験し、悔し涙を流したりしながら人間は変わっていくもので、辛い経験から得たものは人生の大きな財産だと思います。できれば避けたいとは思いますが、いわゆる「痛い思い」をして学んだことは必ず身に付きます。だから「痛み」を感じないドクターには、どんな経験をしても身に付かないのかもしれません。シャレじゃなく「身(み)」がないのですから。

 つい最近も同じホログラムと意気投合し、ヴォイジャーを危険にさらしたあげく裏切られ、痛い目に遭ったところなのに、自分の行動の結果に責任を持てない彼に、ヴォイジャーのクルーは甘すぎます。尤もそこが彼らのいいところですけどね。艦長が言うようにクルーはみんな家族で、ドクターも間違いなくその一員ですから。でも無責任な行動を繰り返す彼に対して見せる艦長の寛大さは、彼女らしくないと思います。

 エピそのものは、ちょっと詰め込みすぎかな。故郷と直接コンタクトできるようになったのだから、そっちに比重を置いたほうが良かったのに。まあ、愉快なサブルーチンを次々に生み出すドクターの創造力が、遺憾なく発揮された「なんちゃってクルー」の描写そのものは面白かったけど。ただね、「700年後の目撃者」の赤毛でショートカットの極悪艦長はイカしてましたが、今回のババくさいお団子頭の艦長はイヤだわ〜(爆)。そのかわり本物の艦長は思いっきり別嬪でした!!。それに審判の場面のスピーチは、パイロット版のラストに次ぐ名スピーチです。無責任ドクターのためってのには少々引っ掛かりますけど・・・。

 故郷の人たちと交信するクルーたち。第4シーズンで初めてメッセージを受け取ったときの、悲喜こもごもの様子を思い出しました。初登場のハリーのママ、キョーレツすぎ(苦笑)。本当に艦長に昇進の催促をしそう。20年ぶりにパパと話したベラナ、ぎこちないやりとりを後ろで見守ってたトム。7年分の2人の軌跡が、この短いシーンに凝縮されてます。今回もパリス提督と話さなかったトム。最終回までに親子の対面シーンはあるのかな?。

 そしてセブン。舞い上がるハリーに冷ややかだった彼女が、クルーたちの交信を間近で聞いて、家族や故郷に対する考えを改めるのを見ていて、ドクターのやりたい放題で感じたイヤ〜な気分は薄れましたね。彼女には初対面も同然のおばさんは、少女の頃のアニカを覚えていて、彼女の無事を喜び、帰りを待っていてくれる。よかったね、セブン。いいシーンもあっただけに、ラストの採掘(?)現場にドクターがうじゃうじゃいるのは蛇足では?。


FRIENDSHIP ONE:終焉の星

★1人の命も1000人の命も、重さに変わりはないわ

 色々と後味の悪いエピでした。第1シーズンでベラナと機関主任のポストを争ったジョゼフ・ケアリー大尉が、思い出したように登場してシャトルミッションに加わった時点でイヤな予感はしましたが、いくらなんでもアレはないでしょう。名も無いクルーの意味のない落命はある意味スタトレの「お約束」ですが、彼の場合は後のストーリー展開のためだけに殺されたようなもので、何度も登場し、フルネームもあるクルーの最期にしては無意味すぎます。

 それに艦長は例え部下が犠牲になっても、助けを求める人を簡単に見捨てたりはしません。「艦隊の誓い」を破ることはあったかもしれませんが、苦難に喘ぐ人を放り出して立ち去ったことはないはずです。ここまで来てこのような艦長の描写は残念です。


NATURAL LAW:原始惑星の人々

★・・・ありがとう

 少し前にあぶないホロプログラムで副長とヨロシクやっていたセブンと、何も知らない(はず?)の副長がシャトルで遭難。だから副長を船外任務に出したらダメなのに・・・と言うのはともかく、第2シーズンで艦長と副長が「第二の地球」に取り残された時のような、彼の愛の告白があるかもと、本国では放送される前にかなり話題になったエピだそうです。

 実際にはロマンスどころか、「人への歩み」でのセブンとは打って変って、2年くらい逆戻りしたような理解の無さ(苦笑)。艦長も脚本家によって、性格や言動などの描き方に相当ブレがありますが、それは副長やセブンも同様なんですね。このエピでのセブンの反応はごく自然で彼女らしく共感できるものでしたが、成長してるのか逆戻りしてるのか、この頃の彼女の行動は少々ナゾです。副長に至っては言ってることがコロコロ変わるし、ケガして早々にリタイヤするし。言葉を持たない異星人と手話で意思疎通を図るところなどは、久々に彼らしい活躍でしたけど。

 文句を言いつつ、でもこのエピは好きです。ボーグテクノロジーで万能なセブンが大活躍するエピより、ずっと彼女が魅力的です。乱れ髪も効果的でした。相変わらず怖がりで、でも素直な子供みたいな部分もあるセブンの不器用な人との接し方に、地球に戻ってからの苦労を心配してしまいました(苦笑)。


HOMESTEAD:帰り行く処

★幸運を祈ってるわ、大使

 第7シーズン半ばまで見てきて(フライングでDVDを見てしまいました)、涙なくして見られなかったのは、この話しだけだったかもしれません。感動したり、うるうるしたことはありますが、今日はホントにハンカチ探しました(苦笑)。DVDの特典映像で内容を知っていたのに。某大手サイトの人気ランキングで1位を獲得したのも当然です。

 ファースト・コンタクト記念日のパーティー。いかにもニーリックスらしい企画に、クルーは大喜び。ただしトゥヴォックを除いて。あやしいステップで踊り狂うニーリックスに、冷ややかなトゥヴォック。相変わらずの2人(笑)。そこへ朗報が届きます。

 ニーリックスの故郷、タラクシアがどこにあるのかよく判りませんが、ヴォイジャーの現在位置から遠く離れてることは確かです。ある小惑星の地下に住む、懐かしい同胞を見つけたニーリックス。故郷を追われた彼らが、ようやく見つけた安住の地を再び失うことを知ります。

 艦隊の誓いがあるから協力はできないと言いながら、これまでのニーリックスの成長が、彼らを救うと言い、戦術を授け、リーダーとして導けと背中を押したトゥヴォック。ヴォイジャーの見学に来たデクサ母子に、ヴォイジャーでのポジションを問われ絶句したニーリックスに代わって、彼の多彩な仕事内容を誇らしげな笑顔で教える副長とハリー。懐かしい故郷、タラクシアをラボで映して見せたセブン。大仰に言わなくても、誰もが彼を大切に思っているのだなと、このあたりで既に涙腺がヤバいです。

 同胞の家を守り、心を残しながらもヴォイジャーで飛び立ったニーリックス。ここで別れたら、二度とタラクシア人に会えないかもしれない。心の中に重いものを抱え、いつものようにナオミにお休みの挨拶をしに行って、「もう子供じゃないから」と言われ、言葉も出ないくらい驚きます。聡明な少女は気付いていたのですね、ニーリックスの迷いを。だから自分が彼の決意の枷にならないように、わざと冷たい言い方をして・・・。

 真っ暗な深夜の食堂でニーリックスを待っていた艦長。彼女もまたニーリックスの迷いと、おそらくはその先の決断まで知っていたのでしょう。言い出せない彼に、これ以上ない提案。今まで彼の優しさと思いやりに、何度も慰められてきた艦長からの素敵なご褒美。

 ターボリフトを降りると、見慣れた名も無きクルーが、通路にズラリと並んで見送ります。シャトルベイの扉の前には艦長とナオミ。あのおしゃべりなニーリックスが言葉も出ないなんて(泣)。そしてトゥヴォックのステップ。本当に降りてしまうのだなと、感無量です。

 胡散臭げで、やきもち焼きで、おせっかいで、正直言ってうざかった彼が、7年の時を経て他の誰より成長しました。その全てを見てきた仲間に見送られ、新しい家族の元へ旅立ったニーリックスの、これからの日々が素晴らしいものであるように祈ります。

 さよならニーリックス。そして、ありがとうニーリックス。


RENAISSANCE MAN:偽りのクルー

★私はそんなに社交的ではないの

 始まりがあればいつか必ず終わりが来る。某古都放送で放送中のヴォイジャーが、とうとう最終回を迎えます。日本では2話に分けて放送されますが、元々は2時間ものなので、通常のものとしてはこのエピソードが最後になります。前回のエピがラスト前にふさわしい感動ものだっただけに、出だしの艦長とドクターの会話を聞いて、また彼のわがままで艦長を振り回すエピなのねと、正直言ってうんざりしました。

 ドクターの、と言うよりホログラムの人権問題は、後期ヴォイジャーの大きなテーマの1つでしたが、4話前にも集大成のような話がありましたからね。でもそれではなっかたのでホッとしつつ楽しみました。クルーの「なりすまし」がとても面白かった。特に艦長のケイト・マルグルーさん。実はネタバレで、最初からドクの擬態だと知っていましたが、帰艦して作戦室に入ったときからの挙動不審さにまず爆笑。落ち着きのないせかせかした動き、艦長らしからぬ早口でまくし立てる様子など、知らずに見ても「あれ??」と思うでしょうが(苦笑)。大体あの艦長が、地球への帰還を諦めるなんて誰が信じますか!。

 相変わらずやられっ放しの副長。でもさすがに7年に渡って艦長の顔色を窺ってきた彼、一目で(もう少しかかったかな?)見破りましたね。彼の「キャスリン」を聞くのはいつ以来でしょう。余りに都合が良すぎるドクターの万能さのせいで、クルーみんながおマヌケ扱いされた感じですが、全員で知恵と力を合わせて艦長救出作戦を成功させたのは、これまでの旅を見守ってきたファンにはうれしい限りです。艦長を人質に取られてるとはいえ、異星人の言いなりにならざるを得ない「万能」なドクターに対し、囚われの身ながら艦長は助かる道を探し手を尽くす。やはりドクターとはぜ〜んぜん違います。

 お久しぶりにヴォーラック少尉が出てきたり、パイロット版からほぼ毎回お顔を見ていたアイヤラ大尉にセリフがあったり(赤の制服だったので別人の設定でしょうか?)、トムとハリーが艦長席に座ったり、サービスシーンが満載だったのもGOODです。

 何でもありのドクター。持ち上げるだけ持ち上げて落とすのがお約束なのは、それだけいじり甲斐があるキャラなんでしょう。かなり尊厳を傷つけられてるのに懲りないのもね。最後の懺悔も今までで最高の落とされ方。これがスタッフのドクに対する愛情なのだとしたら、それはちょっと気の毒?。彼の懺悔を聞いたセブンの何ともいえない表情と、自分が助かったと知ったドクのトホホな顔(爆)。でもこのシーンで、やはりヴォイジャーは家族なんだと改めて感じました。ここにニーリックスがいたらなぁ。

 自分勝手なドク、頼りない副長、出番のないハリーとトゥヴォック(これはちょっと違うかな)、出て来てもベラナとイチャイチャするだけのトムと、第7シーズンはクルーの描写が固定した感のするヴォイジャー。それには不満もあります。でも先の見えない命懸けの長旅を続ける彼らが、閉ざされた空間で日々を過ごしながら、深刻な仲たがいもせずのほほ〜んとしているのも、それはそれで彼ららしいと思います。艦長以外のクルーはみんな同じレベルで好きだし、みんないてこそのヴォイジャーですから。


ENDGAME:道は星雲の彼方へ 

★地球へ・・・戻ったのね

 このエピソードは本当に感想が書きにくいです。毎週見るようになったころ、第4シーズンに入ったあたりでスクリプトを読んでしまいました。記憶に残ったのは無事に帰還したことだけでしたが、それ以後もネタバレの地雷を何度か踏んだので、「提督」のオキテ破りの荒業や、副長のロマンスも先に知ってしまいました。ヴォイジャーは時間ネタやリセットボタン多用が目立つ。自分の都合のいいように歴史をひっくり返すなど何事だと、この点が今に至るまで賛否両論かまびすしいのも知っていました。ただし艦長が自分の都合のいいように歴史を書きかえたのは、今回が初めてではないかと思うのですが。

 でも私はリセットボタン問題よりも、170話に渡って見てきた艦長が、どうして過去にばかり囚われた後ろ向きな「提督」になってしまったのか。苦しいけど有意義な旅を、根本から否定するようなことをしたのか。それが理解できなかった。いつも前向きで、強情で頑固。そんなデルタ宇宙域に怖いものなしの女王様も、時に迷い、時にどんよりと落ち込んだりしました。それでもクルーを守り、故郷に連れて帰るという使命を最優先に考えて、充実した日々を過ごしていたはずなのに。なぜ?。

 その答えを見出そうと、真剣に見ました。美しい白髪の、老いた提督の暗い表情。今ひとつ盛り上がらない帰還10周年のパーティー。語られざる26年の重みだけは伝わってきます。姿かたち同様にノーテンキさも変わらないドクターが浮いてますね。そしてこのパーティーにいない3人。彼らの不在こそが、提督を変えてしまった。まずはセブンの「死」。ボーグ集合体から切り離し、人間性を取り戻す日々を身近に見守った艦長にとって、わが子のような存在だったセブンを失ったのは、本当に大きな痛手だったのでしょう。アカデミーの学生にセブンのことを問われた提督が、硬い表情で答えを拒んだのからも判ります。そしてセブンの「恋人」だったチャコティの変貌。

 私がJ/Cではないのはこの結末を知っていたからですが、J/CでもC/7でも、恋愛関係は別にどうでもいいです、この際。コテコテのJ/Cエピ「ヴィディア人の協力」の2人はとてもお似合いでステキだと思ったけど、ここで感じた艦長と副長の違いが、それから年月を経ても埋まらなかったことを考えれば、2人がくっつかないのは仕方ありません。問題は唐突なC/7が艦長を変えたとされたことです。

 これが最終回だけの取ってつけたような急造カップルではなく、2人が愛し合うに至るプロセスを、たとえ少しでも見せてくれていたら、彼らのことで艦長が26年間も苦しみ続けたと、実際の描写はなくてもリアルに感じられたと思います。なのに何話か前のセブン作のホログラムのような、中学生みたいなデートごっこにうつつを抜かすチャコティを見せられてもねぇ(タメ息)。艦長が未来の自分と対峙し、ヴォイジャーの命運を決める岐路に立っているのに、任務よりデート優先?。「ジェインウェイは1人いるだけでも頼もしいが、今は2人いる。ボーグには負けない」。こんなチャコティが言うと、気の利いたセリフではなく、ただの無責任発言にしか聞こえません。まだ壊れてしまったトゥヴォックを取り戻したい・・・のほうが、理由としてはずっとマシです。

 好きなヴォイジャーなので、批判はしたくないのですが、キャラの書き方に違和感がありすぎて、数多い批判のかなりの部分に納得してしまいました。時間法に触れるのに反対しない副長やトゥヴォック。子供が生まれるのは大切なことだけど、帰還の大事な時に機関室に不在のベラナ。妻の陣痛にオタオタするだけのトム。本来の彼らとかけ離れた描写をして、この2時間のエピで製作陣は何を言いたかったのでしょう。

 結局このエピは「ヴォイジャーの帰還」とか、彼らのその後を描くのではなく、「艦長」と「提督」という2人のジェインウェイを描くためだけのものだったのかもしれません。TNGの最終回も時間モノでしたが、どの時間軸でもクルーはピカード艦長への信頼を揺るがさなかったように、ジェインウェイ艦長に対するクルーの忠誠が変わらなかったのは、せめてもの救いです。

 批判をしつつもジェインウェイだらけの画面の前で、艦長マニアとしては、老いてなお美しい提督の辛そうな表情、変わり果てたトゥヴォックへの愛情、シニカルさなどに胸が詰まったり、24世紀の艦長の飛び切りの笑顔に悩殺(?)されたり、実は結構引き付けられていたんですよね。矛盾するようですけど。それと他の何が解らなくなっても、お別れに来た提督の異変だけは感じ取って暴れたトゥヴォックに、「艦長には副長よりトゥヴォックよね」と思ったり(もちろんロマンスは抜きです)。

 あっけなくアルファ宇宙域に戻って、呆然とするクルーたちの真ん中に立ち、提督に感謝の言葉をそっとつぶやいた艦長。宿願を果たした喜びよりも、戸惑いのほうが大きいのですね。未来の自分の生命を投げ打った結果ですから。これで艦長は苦悩に満ちた年月を過ごさなくていいんですよね?。J/Cの外はハッピーエンドですよね?。

 艦隊の宇宙艦に守られて地球に戻るヴォイジャー。帰還後の姿が全く描かれなかったのは残念です。マキの問題とか、セブンの処遇とかエピローグがあればよかったと思いますが、ヴォイジャー=航海者ですからね、地球には帰ってきても、ジェインウェイ艦長たちの人生の旅はまだまだ終わってはいない。それを象徴しているのだと思って、これからも彼らが宇宙を飛び回ってると想像することにしましょう。

 ジェインウェイ艦長に出会って、私は少し変わったと思います。余りにも個性が違うので、彼女の生き方を目標にはできませんが、何かに悩んだ時や、ふと立ち止まってしまった時に、彼女の言葉、信条を思い出すと、また新たな一歩を踏み出すことができるように思います。7年間お疲れ様でした。艦長が提督に贈った言葉を、私は艦長に贈ります。「感謝します、ジェインウェイ艦長」。

 


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