キャスリン・ジェインウェイ
プロフィール 惑星連邦・宇宙艦隊所属。階級は大佐。宇宙艦ヴォイジャーの艦長。地球(アメリカのインディアナ州ブルーミントン)出身。父は宇宙艦隊の提督で西暦2358年頃に事故で死亡。母と妹が1人いますが、本編には登場しません。5月20日生まれ。年齢は公式サイトでも明らかにされていませんが、艦長のキャラ設定をしたジェリ・テイラー氏の著書「MOSAIC」によれば、ウイリアム・ライカーと同い年とされており、それに従えばヴォイジャーが始まった時点で36歳。艦長を演じたケイト・マルグルーさんは、インタビューで38歳と答えたことがあるそうです。 お父さん子で、子供の頃から優秀だったようです。泥まみれで植物を育てるより量子力学の勉強がしたかったと、本編でも語っています。その一方でテニスやバレエを習い、なかなかの腕前になったように活発な少女でもありました。バレエは6歳で天才少女と言われ、クルーの前で「瀕死の白鳥」を踊るほどの腕前ですが、テニスは試合に負けて泣きながら嵐の中を帰宅したり、19年ぶりに握ったラケットで空振りしていました。 艦隊アカデミーを卒業後、科学士官としてキャリアをスタートさせたキャスリンは、厳しいことで有名なパリス提督に認められ、彼の薦めで指揮官への道を進みます。そして初めて任された艦がヴォイジャーで、バッドランドで消息を絶ったマキ船の探索のため、2週間の予定でディープ・スペース・ナインを発進しました。 性格など。 頑固・・・以上。 いやいや、これで終わってはいけませんね(苦笑)。艦隊アカデミーで訓練をつみ、艦隊生活を何年も送ることで、厳しい宇宙での生活に適応していくのだとしても、もし私がジェインウェイ艦長の立場に立たされたとしたら。ヴォイジャーを見ると、考えてしまいます。まあ、考えるまでもなく結論は出ていて、仮に彼女と同等の知識と経験があっても、私の性格だと地球には帰れないでしょう。まず最初に管理者のアレイを爆破する決断ができず、ケイゾンの捕虜になるか、ヴォイジャー撃沈、第1話で完結(泣)。 「決断するのが私の仕事」と艦長は言いますが、事が起こって決断するまでの時間の短さ、選択の余地すらあるのかないのか、いつもギリギリ状態のヴォイジャーで、クルーの安全を守り、生き延びる策を選ぶことが、どれだけ大変なことか。どんな人間でも、危機に直面した時に、常に正しい判断を瞬時に下せるものではありません。しかし彼女の決断に、140余名のクルーの生命がかかっているのです。 身もフタも無い言い方をすれば、決められた最終回でなければ、どんなに進んだ技術があっても、Qのような存在に地球へ戻してやると言われても、YESとは簡単に言えないし、正しい選択をしても結果は必ず裏切られる。ストーリー展開上の制約は「艦隊の誓い」よりも、残念ながら厳しいものです。見ている側が「それなら仕方ない」と、納得できるストーリーばかりではないのが辛いところです。 強い自制心と艦隊士官としての誇りを持ち、常に前向きで最善を尽くす努力を怠らない。時に頑固で依怙地で、クルーを守るためなら自分の生命を犠牲にすることも厭わない。そして必ず地球へ帰るという鋼鉄の意思。自分の保身やメンツなど眼中にない人だから、途中下車のできない旅とはいえ、クルーは彼女を信頼し、着いて行くのだと思います。 そんな艦長でも、初期シーズンでは信頼するトゥヴォックや副長の前で、思い迷う姿を見せることがあります。艦とクルーを守り、7万光年の旅を完遂するために、自分の全てを投げ出す覚悟を決めながら、「ミッシング1937」のラスト、貨物室前で見せた気弱な表情に、1人の人として共感を覚えます。 しかし後半シーズンでは、迷う姿はあまり描かれません。そのかわり管理者のアレイを破壊し、クルーをデルタ宇宙域に放り出した「原罪」の意識が彼女を苦しめます。決断は正しく、悔いてはいないとしても、その結果75年の旅をクルーに強いたとなれば、艦長の背負った重荷は重くなることはあっても、決して軽くはならない。 第4シーズンあたりで製作陣が変わり、艦長の描かれ方に変化が起きます。好戦的、独断専行、無謀などなど、批判が噴出する行動や発言をするエピソードが増え、初期シーズンのような、女性らしい細やかな気遣いを見せるエピは少なくなります。キャラの二分化。 1話から順に見ていたら、変化をマイナスに捉えたかもしれませんが、私が見た順は、幸か不幸か第4⇒第5⇒第1〜第3シーズンで、ハードな艦長を先に見ているので、艦長の全てを肯定はしないものの、過酷な旅を続けていれば、起き得る変化なのだと考えています。 ヴォイジャーの7年間の旅は、ジェインウェイ艦長の旅であり、変容する彼女の物語。変容が成長だったのだと、最終回まで見て思えればいいのですが。 スタイル そんなに小さい人ではないのでしょうが、ヴォイジャーの男性陣はみんな長身なので、いつも見上げて話してます。でも上目遣いではなく、昂然と顔を上げて相対するので迫力満点。ブリッジで腰に手を当て、仁王立ちでスクリーンを見る時などは、どこから見ても女王様・・・じゃなくて立派な艦の最高指導者。 艦隊のユニフォームを着ていると目立ちませんが、意外にグラマーです(笑)。見る機会は少ないですが、おみ足も大層美しい。細身ながら筋肉質、かなり鍛えてるのでしょうね。肉体美はタンクトップでアクション満載の「巨大ウイルス」でよく判ります。7年の旅の間、ほとんどスタイルに変化がないのは立派です。ただ軽量が災いするのか、艦が衝撃波などで揺れると、艦長席からよく転げ落ちてます。ちなみに服のサイズは4だそうです。 ヘアスタイル 大まかにまとめれば、パイロット版から「29世紀からの警告・前編」までが、いわゆる「タマネギ頭」で、「29世紀からの警告・後編」から「DNAに刻まれた悪夢」までがポニーテール。後は最終回まで多少長さは変わりますがボブです。 撮影当初、ケイト・マルグルーさんの髪は肩先くらいの長さでしたが、スポンサーからダメ出しがあり、タマネギに変わったそうです。あの長さでよくアップにまとめられたなと、パイロット版を見たときに感心しました。作戦室のシーンなど一部はヅラだと思いますが、3話以降は全て地毛ですね(タマネギ部分は付け毛?)。ただ6話「ワームホールの崩壊」では背中まである下ろし髪のシーンがありますから、撮影期間はどれくらいなのか不思議です。 まとめて「タマネギ」と言われる艦長の髪型ですが、実は意外と変化があります。若い男性視聴者にアピールするには・・・と言うことで、試行錯誤が繰り返されたそうです。最初の頃は前髪をふくらませていないので、ひっつめ髪という感じで、余り好きではありません。色も赤いように感じます。セブン・オブ・ナイン風の巻き髪もあります。似合ってますが、ちょっとふけて見えるのが残念。それに艦長としては色っぽすぎます。てっぺん部分(?)も、おだんご、折りたたみ型、うずまき型などなど、見ていると楽しいです。 ワックスなどで固めてるでもなく、ヘアピンの1本も見せないで結い上げているのには驚きます。メイクシーンを見てみたい。タマネギ時代の艦長は、髪を下ろすと別人のようですね。タマネギが崩れた時はそうでもないのに、下ろしてる時の乱れ髪は非常に色っぽい。この時期では「ヴィディア人の協力」の髪型が一番好きです。 ポニーテールはタマネギより優しい感じがします。「生命体8472」を除けば比較的穏やかな旅が続いた時期で、異星人に凄みをきかせるような事件もありません。後ろから見ると、ワープナセルのないヴォイジャーに見えるのは私だけ??。 例外は正体不明の異星人に、4日間も眠れないほどの頭痛を与えられた「DNAに刻まれた悪夢」ですかね。オープニング後、ドクターにマッサージを受けて、お顔がぷるぷる状態の艦長は笑えますが、通常は一筋の乱れもなく結わえられている髪がボサボサ、かつ不眠で目元にはクマまで。「突っ込む時はフルスロットル」・・・初めてマジ切れしたエピソードがロングヘアー最後のエピと言うのには、何か意味があるのでしょうか。 第4シーズン、原題「地獄の年」で、バッサリとショートになりました。軽くウエーブがかかり、この時期はかなり短いです。このすぐあとの「宇宙を飛んだダ・ヴィンチ」では、憧れのレオナルド・ダ・ヴィンチと空を飛んで、少女のようなはじけた笑顔を見せてくれます。余談ですが艦長がこれほど楽しそうにしているシーンは、全編を通してもここだけでしょう。 なぜシーズンの途中で切ってしまったのか、理由は分かりません(公式のコメントもないようです)。ヴォイジャーの旅も4年目に入り、ボーグと本格的に遭遇して厳しさが増したこと。セブン・オブ・ナインをクルーに迎えたことでボーグテクノロジーを手に入れ、地球への帰還が現実味を持ってきたことから、決意も新たに・・・ということでしょうか。 私見ですが、このあたりでケイトさんは、艦長の生みの親ジェリ・テイラー氏が造形した「ジェインウェイ像」から離れ、彼女なりのジェインウェイ像を完成させたのではないかと思います。髪を切ることでウエットな部分や、女性らしさをアピールしなくなった。何よりも艦長であることを最優先する。髪が長かろうと短かかろうと女は女。でも指揮官に必要なものは女性らしさではないと。尤も艦長がビックリするほど色っぽいのは、ショートヘアの時でしたが。 ここからは少し長くなり、肩にかかるくらいの内巻きボブが続きます。前髪も長いですね。「700年後の目撃者」で、赤毛のショートで悪人バージョン、「甦るジェインウェイ家の秘密」でのご先祖様と、別人の設定で髪型が変わることはありますが、大きな変化はないようです。シーズンごとに微妙な違いはありますが。艦長の髪型でどのエピか判れば、かなり重度の艦長信者です(笑)。 好きなもの ブラック・コーヒー。艦長のコーヒー魔ぶりを示すエピソードは、「星雲生命体を救え」を始め、上げればキリがないでしょう。コーヒーカップを手にしないエピはないかも。 お風呂。「入浴は最高のリラックスタイム」だそうです。歴代艦長で入浴シーンがあるのはキャスリンだけ?。別に他の艦長のは見たくないですが(苦笑)。 ゴシック小説。中世や近世のヨーロッパが好きなのでしょうか。初期シーズンで何度か出てきた「ジェインウェイ・ラムダ1」というホロノヴェルは、ゴシック小説の王道を行くようなストーリーです。ちょっと不倫ぽくて、ハマってましたね。 嫌いなもの Q・・・でしょうか?。彼はかなり艦長にお熱のようですが(苦笑)。「Q1、Q2」ではベッドに闖入され、「レディQ」ではあの手この手で口説かれ、「断絶するQ」ではついに○○まで(爆)。いつもは冷静な応対をする艦長が、口ゲンカのように言い返すところなど、見ているほうは愉快です。 虫も嫌いなようです。「そんな虫がサラダに入ってたら、艦長はひきつけ起こすぞ」とニーリックスが言ったり(繁殖期エロジウム)、艦長も「虫はイヤね」と言ってます(ヴィディア人の協力)。ただし「艦長モード」の時は、イモムシ(?)を手づかみできます。もしかしたら食べたかも(ケイゾン総攻撃)。 料理は全くダメ。レプリケーターで作っても失敗するほどで、筋金入りの料理下手。作ろうという意欲はあるので、嫌いではなく苦手?。 あとは信頼を裏切られること、クルーに危害を加えられること。これも嫌いというのは適切ではないかもしれませんが、この2つが合わさると艦長は豹変します。艦長を騙そうとすればタダではすみません。 ケイト・マルグルーさん ジェインウェイ艦長の魅力は、演じるケイト・マルグルーさんに負うところが多いのではないかと思います。ふとした時に見せる微妙な心の動きを、見事に表現されています。それも大げさなボディランゲージではなく、顔の表情、目や眉のかすかな動きだけで。 パッドやコンソールを操作する指先、シートから立ち上がる時などの動作がとてもきれい。コスプレ(?)でペチコート入りドレスを着た時も、裾のあしらい方が自然で優雅です。主役だし真ん中にいるシーンが多いせいもあるでしょうが、他のクルーがメインのシーンでも、ケイトさんに目が行ってしまいます(単にマニアなだけ?)。 上でも触れましたが、艦長のキャラ二分化について。後期シーズンでの艦長の書かれ方の変化は、ケイトさんが望んだ方向だったのかもしれません。ケイトさんが考えるジェインウェイ像と、製作側(ブラガ氏、バーマン氏)の思惑はかなり近く、視聴者が望むジェインウェイ像からはいささか乖離していた。初期から一貫した艦長と、後期の艦長。ケイトさんの演技は常に説得力があるだけに、2人のジェインウェイがいるように感じられます。 映画「レモ/第1の挑戦」で、ケイトさんはアメリカ陸軍の少佐を演じています。平凡なストーリーのB級アクション映画ですが、勝気で上官にでもはっきり主張するところや、職務に忠実で真っ直ぐな気性などは、若き日のジェインウェイはこんなだったのかなって気がします。今から20年ほど前の映画ですが、この頃のケイトさんはダミ声じゃないですね。 キャサリン・ヘプバーンを演じている一人芝居「TEA AT FIVE」を、見てみたいです。アメリカでDVDが出てますが、私のデッキでは見られないのが残念。 松岡 洋子さん ★ 「戦国魔人ゴーショーグン」の真田ケン太役でデビュー。見たことはありますが、声に記憶はないです。ゲゲゲの鬼太郎も同じく。データベースを見ても少年の役が多いようです。成人女性である艦長の声は地声かなと思いましたが、どうでしょう。大人ボイスはNHKのドキュメンタリーでよく聞きますが、それぞれ違いますから、声優さんの地声は台本を持ってない時しか聞けないのかもしれませんね。 ケイトさんと比べると、松岡さんの声はかなり高いです。ケイトさんの声を聞いたのはヴォイジャーを見始めて随分経ってからなので、今でもなじんでるのは松岡さんの声ですね。女性らしさがにじみ出るようなシーンや、明るいシチュエーションだと、松岡さんの声の方が艦長の顔と合ってるように思います。ただ、ささやくように話す時のケイトさんは、英語が分からない私にも、ジェインウェイの感情を強く訴えかけてきます。 今では私の中で艦長とイコールになってしまい、松岡さんの声が聞こえてくると、「あっ、ジェインウェイ艦長だ」と反応してしまいます。もし他の声優さんがケイトさんの声をあてたら、すごく違和感があるでしょう。幸か不幸かケイトさんの出演したテレビや映画が、日本ではほとんど放映されませんから安心と言えば安心。でも見たい(苦笑)。特に「ダディ」と「新ルーツ」と「ミセスコロンボ」!! 最初の艦長 ケイトさんは、ジェインウェイ役を決める、最初のオーディションに落ちたそうです。主役を射止めたのはジェヌビエーブ・ビジョルドさん。ケイトさんより10歳ほど年長で、グレイっぽい黒髪のショートカット、小柄で物静かな印象の人です。しかしパイロット版の撮影が始まってわずか2〜3日で降板、急遽再オーディションが行われ、ケイトさんが選ばれました。 降板の理由をどこかのサイトでは、年齢的に長期の撮影は負担が大きいからと書かれていました。ヴォイジャー第1シーズンDVDの特典映像の中では、製作側の人が「撮影が始まってキャストの再考が必要になった」と発言していました。 クランクインの前に、製作側がどの程度ジェインウェイの人物像を作っていたのか、脚本が何話くらい書かれていたのか全く判りませんが、主役の交代でジェインウェイのキャラ設定は、大きく変わったのではないかと思います。120話以上ケイトさんのジェインウェイを見た一方、ビジョルドさんは効果音も入ってないパイロット版のほんの一部しか見ていないので、比べられるものでもありませんが、2人の演じるジェインウェイは、全く違う人物に見えます。 穏やかそうなビジョルドさんも「ブチ切れ艦長」の脚本がくれば、切れた艦長を演じるのでしょうが、そもそもそんな脚本が書かれないのでは?。別にケイトさんの切れっぷりがすごいと言う訳じゃないですが、初の艦長任務で、まだ成長途中とも言える年齢のケイトさんと違い、ビジョルドさんは経験豊富で余裕のある、ピカード艦長のような書かれ方をしたのではと思います。少なくともボーグにケンカを売るようなエピは、書かれなかったでしょう。 最後に余計な一言を、パイロット版で、婚約者のマークとラブラブな通信をする艦長、失礼ながらビジョルドさんでは想像できません(爆)。 |